昨今では不妊治療をおこなう夫婦が増加傾向にあるようです。一般社団法人日本生殖医学会によると、およそ6人に1人は不妊を経験するとされています。そして、かつては『女性のみの問題』とされていた不妊症ですが、現代ではそのうち半数は男性の問題と考えられているようです。漫画家・赤信号わたるさんの作品『子供がほしいだけなのに 〜男性視点で描く不妊治療の話〜』の抜粋エピソードでは、男性である作者自身が経験した不妊症の経験談が描かれています。
作者とその妻は、結婚して数年が経つものの一向に子どもが産まれる気配がありませんでした。作者はまだ32歳だから焦らなくても大丈夫と思っていましたが、そのとき未来の作者がやってきます。未来の作者によると、このときの選択でものすごく後悔したようです。
ときはコロナ禍。不妊症に悩む作者夫婦は、ひとまず妻のみ婦人科に行きましたが異常はみられませんでした。そこで、排卵日前後に性交渉をおこなう『タイミング法』で治療を開始しますが、半年経ってもまったく妊娠の気配が見られません。
2年以上性交渉をおこなっても妊娠しないため、作者夫婦は不妊症に当てはまることが判明。そこで、妻は人工授精を決意します。このとき決意したのは、年齢とともに妊娠率が低下し流産率も上昇するためでした。作者は妻の提案に乗り、人工授精に踏み出すことにします。しかし未来の作者によると、この主体性のなさも後ほど後悔することになるのでした。
人工授精とは、排卵時期にあわせ洗浄・濃縮した精子を子宮内に注入する方法です。そのため、男性は自分の精子を病院に提出する必要があります。そこで作者は病院に行ったところ、医師から「あなたの精子は運動率と正常形態率が少し悪い」と告げられました。
医師によると、この2つの値が低いため自然妊娠が起こりにくかった可能性があるとのことです。作者はいままで大きな病気にかかったこともなく、自分は大丈夫だろうと思って過ごしていました。そのため、「まさか自分が」と崖から落ちるような気分に立たされたのでした。
読者からは、「不妊治療してたときを思い出した」「男性にも読んでほしい!」など共感の声が寄せられています。そこで、作者の赤信号わたるさんに話を聞きました。
不妊治療の男性側の体験やイメージはまだ十分に共有されていないように感じる
―作品を描いたきっかけについて教えてください
治療中の当時から、いつかこの体験は漫画にしたいという思いがありました。少子化や不妊治療は社会問題として広く取り上げられていますが、特に男性側の体験や具体的なイメージは、まだ十分に共有されていないように感じています。幸い自分の場合はその後子どもを授かることができ、保育園に入って少し時間にも余裕ができたので、描くなら今しかないと思い制作を始めました。
―検査の結果、精子の運動率と正常形態率がやや低めの数値だったとのことでしたが、日常生活では自覚症状などは特に見られなかったでしょうか?
自覚症状はまったくありませんでした。また、この問題は非常にセンシティブな分野であるため、男性同士でも日常的に話題になることはほとんどありません。比較する機会もないので、実際には検査を受けてみないと分からない部分が大きいと思います。
―作品を読んでいる人のなかには、不妊症で悩む方などもいらっしゃると思います。そんな読者の皆さまへメッセージをお願いいたします
自分も経験者の1人ですが、不妊治療は人それぞれ原因や状況が異なるため、安易なことは言えません。ただ、共通しているのは大きなストレスと向き合い続けなければならないことだと思います。日々そのなかで頑張っている方々には本当に頭が下がる思いです。
同作はKindleインディーズにて全話無料で公開しております。自分たち夫婦の経験が、どなたかの参考や励みになれば幸いです。
<赤信号わたるさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/GoAkashin
▽電子書籍『子供がほしいだけなのに 〜男性視点で描く不妊治療の話〜』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DZ6XWNPG