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「状態が悪いので5万円」と査定された金のアクセサリー 別の買取店に持ち込んだら10倍の値! 廉価で買いたたくのは詐欺行為ですか?【弁護士が解説】

海川 まこと 海川 まこと

Aさんは、親から譲り受けた金のアクセサリーを売るといくらになるのか気になり、貴金属の買取店を訪れました。

最初の店では、スタッフから「ん~、これは状態が悪いので5万円なら買取できますよ」と言われます。思っていたより安く、査定額の根拠もはっきりしなかったため、Aさんはその場では売らず、別の店でも見てもらうことにしました。

すると、次に訪れた店では、重さや品位を確認したうえで「50万円で買取可能です」と説明されました。

「さっきの店では5万円と言われたのに、こんなに違うんですか」

Aさんは思わず声をあげました。

2店目では、Aさんが持ち込んだ金製品について、品位を踏まえると金としての重さが20gほどあると確認。そのうえで、店頭の相場表に沿って50万円と査定しました。2026年6月現在、金相場は1gあたり2万5000円を超える水準で推移しており、この相場表も当時の一般的な相場と大きく離れたものではありませんでした。

Aさんは説明に納得し、その店で金のアクセサリーを売却します。しかし帰宅後、最初の店の査定額を思い返し、「相場より大幅に安い金額を提示するのは問題ではないのか」と疑問を抱きました。

では、買取店が相場よりも安い金額で金を買い取ろうとした場合、罪に問われることはあるのでしょうか。また、売却後に相場との差を知った場合、金を取り返すことはできるのでしょうか。弁護士の齊田貴士さんに話を聞きました。

安く買い取っただけでなく、虚偽説明などがあったかが問題

―実際の価値よりも極端に低い金額での買い取りは詐欺に当たりますか? 

単に当店の買取価格は5万円ですと提示しただけなら、原則として直ちに刑事上の詐欺罪とはいえません。刑法246条の詐欺罪は、他人を欺いて財物を交付させる行為が必要なので、安く買い取っただけでなく、虚偽説明などがあったかが問題になります。

たとえば、純金ではない、重さは数グラムしかない、相場はかなり安いなどと、相手が金を売却するかを判断するにつき、重要な事実を偽ったり、異なった説明をしたりして売却させた場合は、詐欺罪や民法96条の詐欺取消しが問題になります。また、相手の無知や窮迫につけ込んだ著しく不当な取引は、民法90条の公序良俗違反として無効になる余地もあります。

―買取店に売った後に、金額に納得いかなければ取り返せますか? 

自分で店舗に持ち込んで売った場合、後から安すぎたと分かっただけでは、原則として一方的に取り戻すことはできません。売買契約は、品物を渡し、代金を受け取る合意によって成立するからです。

ただし、虚偽説明があった場合の詐欺取消し、錯誤による取消し、公序良俗違反による無効などが認められれば、取り消しや無効を主張できる可能性があります。また、店頭での買取ではなく訪問買取の場合、特定商取引法の訪問購入に当たれば、法定書面を受け取った日から8日以内ならクーリング・オフが可能です。

―もしも家族が勝手に金を売ってしまった場合、取り返すことはできますか? 

家族であっても、所有者の許可がなければ、原則として金を売る権限はありません。無権限で売却した場合、本人が同意しなければ、その契約の効力は本人には及びません。

ただし、金は動産なので、買取店が売主を所有者だと善意無過失で信じて取引した場合、民法192条の即時取得により店側が所有権を取得する可能性があります。

その場合、すぐに買取店へ処分しないよう連絡し、領収書や写真、刻印、重量、売却日時などを整理することが大切です。

◆齊田貴士(さいだ・たかし) 弁護士
神戸大学法科大学院卒業。弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。

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