「保護してすぐ病院に連れて行ったとき、先生から『だいたい5月生まれぐらいだね』と言われたサクラ。丸くてかわいいモフモフ女子になりました」
そんなコメントが添えられた元保護猫の劇的なビフォーアフター写真が大きな反響を呼びました。保護されたばかりのころ、痛々しいほど痩せていたその子猫の名前は、「サクラ」ちゃん(女の子)。今では、同じ猫とは思えないほどふっくら、つやつやの毛並みが美しい姿になったのです。
1.7万件超の“いいね”を集め、多くの人々に感動を与えたサクラちゃん。飼い主の伊集院慧さん(@Kreuz_Kei)に、その出会いから現在に至るエピソードを伺いました。
生死の境にいた子猫… 「看取る覚悟」から始まった出会い
サクラちゃんと飼い主さんが出会ったのは、2025年8月20日のことでした。最高気温が40度に迫る厳しい猛暑の日。通院のため半日で退勤していた飼い主さんのもとへ、会社の同僚であり親友でもある友人から、1本の緊急連絡が入ります。
「会社の敷地内に、まったく動かない死にそうな子猫がいる」
あまりにも切迫した内容でした。
「友人は、私が大の猫好きで、保護猫と暮らしていることを知っていました。だから、連絡をくれたのだと思います。聞く限り、子猫は生死をさまよっている状況――真夏のコンクリートの上でそのまま息絶えてしまうのは忍びない。それなら家に連れて帰って看取ろうと思い、覚悟を決めました」
その後、友人が飼い主さんを迎えに来て、一緒に現地へ向かいました。うだるような暑さの中、目の前にいた子猫は完全に衰弱しきっているように見えたといいます。しかし次の瞬間、思いがけない光景が広がりました。
「持ってきた液状おやつを与えてみると、なんと勢いよく食べ始めたんです。その必死で生きようとする姿を見て『我が家で引き取ろう』と心が決まりました。声をかけてくれた友人には本当に感謝しています」
飼い主さんは看取るためではなく、家族として共に生きるためにサクラちゃんを抱き上げました。
衰弱した体…懸命なケアに応えたサクラちゃん
保護当時、サクラちゃんの健康状態は極めて危機的でした。推定で生後3カ月ほどだったものの、体はガリガリに痩せ細り、重い猫風邪を患っていたのです。目やにによって両目は完全にふさがって開かず、鼻水で鼻が詰まっているため、呼吸をするだけでも苦しそうな痛々しい姿でした。
飼い主さんは一刻も早く苦痛を和らげてあげたいと、すぐに動物病院へ。懸命な看護の日々が始まりました。
「毎日、目や鼻などをきれいに拭きました。シャーシャーと嫌がりましたが、爪を立てて怒るようなことは一度もありませんでした」
威嚇の声を上げることはあっても、決して人間に傷を負わせようとはしなかったサクラちゃん。その健気な姿に応えるように、飼い主さんは毎日根気強く治療とケアを続けました。
「その後は徐々に回復。すくすくと成長してくれて、現在は無事に1歳を迎えることができました。よく食べ、よく眠って、今ではふっくらと健康的な体つきになりました」
あの日、生死の境をさまよっていた子猫は、今や投稿写真にある通り、美しく豊かな毛並みを蓄えた「丸くてかわいいモフモフ女子」へと成長したのです。
先住猫たちと寄り添える日を夢見て
命の危機を乗り越え、立派に成長したサクラちゃん。しかし、過去の過酷な体験の名残からか、その性格には非常に繊細な部分があるといいます。現在の暮らしぶりについて、飼い主さんはこう明かします。
「とても神経質で、シャーシャーと威嚇することはありませんが、触らせてはくれません。おやつをあげるときしか近寄ってきてくれません。獣医さんからも『こんなに神経質な子はめずらしい』と言われたこともあるほど。まだまだ人間には完全には心をゆるしてないですね」
抱っこやスキンシップを急ぐことなく、サクラちゃんの個性を丸ごと受け入れている飼い主さん。そんな家族の深い理解を察してか、サクラちゃんの心にも少しずつ、確かな変化の兆しが現れ始めました。
「ただ、毎日、おやつをくれる私の父親のそばに行って『おやつ、ちょうだい!』と催促したり、最近では私が近寄っても逃げなくなりました。サクラのペースで、ゆっくり人間に馴れてくれればいい。『家猫ライフは最高だよ。長生きしてね!』と家族みんなそう思っています」
大好きなコミュニケーションである「おやつ」をきっかけに、お父さんへ自ら歩み寄ったり、飼い主さんが近づいても安心していられるようになったりと、心の距離は一歩ずつ縮まっています。
現在、飼い主さんの家にはサクラちゃんのほかに2匹の先住猫が暮らしています。「いつか2匹の先住猫とも一緒に過ごせるようになってくれるといいなと思いつつ、今はそっと見守っています」と語る飼い主さん。
サクラちゃんは、優しい家族に見守られながら、穏やかな時間を積み重ねています。