法律とは人が作ったものであるため、どうしても欠陥があります。いくら正しいことを訴えたとしても、言い分が通らないこともあるようです。
弁護士として活躍する漫画家・弁護士のたぬじろうさんの作品『知るほどヤバイ 知らないともっとヤバイ 法律の闇』の抜粋エピソード『司法の欠陥』では、法律ではどうすることもできない迷惑行為の実態が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約1700のいいねが寄せられました。
ある日、弁護士仲間である3人は個室で飲み会をおこないました。そこで彼らは、仕事の愚痴を特定されない範囲で言い合います。
ある弁護士のもとには、「放置車両をなんとかしたい」と話す相談者がやってきたそうです。そこで弁護士は、所有者を調べて警告・交渉、どかさなければ裁判、その後強制執行というステップだと説明します。
相談者は放置車両を勝手にどかせないのかと尋ねますが、それは法律で禁止されていると説明します。そのうえ裁判で請求できるのはパーキング料金ぐらいと知り、相談者は「法律がおかしいでしょうがよォ」と弁護士に文句を言うのでした。
別の弁護士のもとには、念願のマイホームを購入したものの、隣人の騒音や悪臭がひどいと訴える相談者がやってきたそうです。弁護士は「受忍限度を超えていれば損害賠償の対象になる」と話しますが、相談者は迷惑行為をやめさせる、引越してもらうなどの根本的解決がしたいと訴えました。
しかし、これらは法律でも非常に難しいのが現状です。相談者は、警察や役所からも弁護士に相談してほしいとたらい回しにされていたため、「どうすればいいんですか!!」とその場で嘆くのでした。
もうひとりの弁護士のもとには、ある裁判で勝訴し喜ぶ依頼者がいたそうです。弁護士は先方にお金を払うよう連絡するものの、一向に支払われる気配がありません。このような場合、先方所有の不動産や預金をこちらから指定して強制執行するしかありません。しかもそうなると、追加で弁護士費用もかかります。
弁護士によると財産調査の方法もあるものの、先方が本気で隠している場合は難しいこと、財産が配偶者名義になっていると強制執行もできないそうです。そのうえ先方に財産がないと請求もできず、破産されるとそもそも請求すら不可能になります。
依頼者は、苦労して勝訴したのに判決書はただの紙切れじゃないかと弁護士に詰め寄るのでした。
読者からは「法律って知ってる人の味方だ…」「どうしようもないのグロすぎる」など、法律に驚く声が挙がっています。そこで、作者の弁護士のたぬじろうさんに話を聞きました。
住宅は大きい買い物なのでしっかりとリサーチを
―同作を描いたきっかけについて教えてください
司法の欠陥を取り上げることは担当編集の奥井さんのご提案でした。面白そうなテーマだと思ったので、さらにX上でテーマを募ったところ、弁護士アカウントのフォロワーから、色々な事例をいただきました。どれも「あるある」だったので悩みましたが、3点に絞って漫画にした次第です。
―もし無断駐車された車を土地所有者が勝手にどかした場合、土地所有者も罪に問われるのでしょうか?
自力救済禁止の原則に違反し、違法行為となりますが、それが直ちに罪となるわけではありません。ただし、例えば自動車を処分したり、傷付けたりした場合には器物損壊罪(3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料)が成立しえます。
ただし、刑事上の罪とならなくても、民事上の責任=損害賠償等の問題は生じます。勝手に動かしたことにより所有者等に損害が発生すれば、その損害を賠償しなければなりません(不法行為に基づく損害賠償)。
―隣人の騒音・悪臭被害に法的な限界があることも印象的でした。このような被害に遭わないために、被害者ができることはありますか?
購入前に近隣の状況等をよく調べるしかないでしょうね。購入してしまった後では、法律ではどうすることもできません。
購入後では、隣人にやめてくれる様お願いをしたり、行為がやむことを願って(威嚇効果を狙って)損害賠償請求をしたりすることも考えられますが、それをすれば必ず解決するというものでもありません。
究極的には、損害が発生することを覚悟してこちらが引越しをするか、激臭&騒音を我慢してそこで暮らし続けるのかという判断をしなければならないのかもしれませんね…。自宅は、大きい買い物ですから、しっかりとリサーチをしてから購入しましょう…。
<弁護士のたぬじろうさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
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https://www.instagram.com/b_tanujiro/
『知るほどヤバイ 知らないともっとヤバイ 法律の闇』
▽KADOKAWA
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▽単行本(Amazon)
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▽電子書籍(Amazon)
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