ただのメモのはずが、夫婦の空気を変えてしまった
夫婦の不信感は、決定的な証拠よりも、むしろ曖昧な違和感から始まることがあります。確証はない。それでも、一度見てしまったものが頭から離れず、日常の見え方まで変わってしまう。神奈川県在住のBさん(40代)は、夫のスマホに残されたあるメモをきっかけに、そんな葛藤を抱えることになりました。
夫のスマホに残されていた細かすぎる予定
あるとき、開かれたままになっていたメモアプリがBさんの目に入ったといいます。
そこに書かれていたのは、妙に完成度の高い予定表でした。
《18:00 〇〇予約》
《近くのバー△△》
《最後はベイサイド□□》
さらに、「予約推奨」「移動はタクシーが便利」といった補足まで添えられていたそうです。
あまりにもデートの段取りに見え、Bさんは瞬時に胸騒ぎを覚えたといいます。
Bさんが特に引っかかったのは、その場所でした。
メモに記されていたのは、夫が担当している九州地方の都市。Bさんが訪れる予定はなく、家族旅行でもありません。
夫は以前から出張が多く、泊まりの仕事も珍しくありませんでした。仕事柄、仕方がないものだと思い、これまでは気に留めていなかったそうです。
しかし、このメモを見てから、出張の見え方が少しずつ変わりました。
「本当に仕事かもしれない。でも、“もし違ったら”という考えが消えなくなったんです」
問い詰めたいのに、問い詰められない
一方で、Bさん自身も確信が持てないことに苦しんでいました。
接待の下見かもしれない。取引先を案内するために、良い店を調べている可能性もある。管理職の夫なら、そうした準備をすることもあるだろう――。
そう考えると、「浮気だ」と決めつけることはできません。
だからこそ、聞くこともできませんでした。
「もし仕事だった場合、“スマホを見た上で疑われた”という事実だけが残りますよね」
ただ、不思議なことに、一度疑い始めると、それまで気にならなかった行動まで意味を持ち始めたといいます。
出張前だけ少し機嫌が良いこと。以前より服装を気にするようになったこと。帰宅後、スマホを以前ほど無造作に置かなくなったこと。
「今までは何とも思わなかったのに、全部がつながって見えてしまうんです」
決定的な証拠はない。それでも、スマホに残された完成度の高い予定だけが頭から離れない。信じたい気持ちと疑念の間で、Bさんは今も答えの出ない時間を過ごしています。