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【漫画】夫婦喧嘩を「ChatGPT判定」に委ねた家庭の行方 質問者に味方してくれるその「見解」、信用して大丈夫?

松波 穂乃圭 松波 穂乃圭

便利なはずのAIが、家庭の空気をさらに険しくすることがあります。正しさを確かめるために開いた画面が、いつの間にか勝敗を決める材料になっていたとしたらどうでしょうか。都内在住のYさん(40代)の家庭では、口論のたびにAIが呼び出されます。

正しさを証明するため…

Yさんは夫と意見が対立すると、すぐにスマートフォンを手に取ります。そしてChatGPTに事情を入力します。「夫が家事をほとんどしないのは思いやりに欠けますよね」といった具体的な内容です。表示された回答には、家事分担の大切さや配慮の必要性が丁寧な文章で書かれています。

YさんはAIが回答してくれた画面を夫に見せ、「ほら、私の言っていることが正しいでしょう。AIもあなたが悪いと言っています」と告げます。夫は当初あきれた様子で受け流していましたが、次第に黙ってはいられなくなりました。

ある日、夫は同じやり方で反論します。Yさんの言動を説明し、「一方的に責められるのは理不尽ではないか」と入力しました。すると今度は、女性特有の感情的な責め方への注意や対話の重要性を説く回答が表示されます。「AIは私が正しいと言っています」。リビングの空気は一気に張り詰めました。

AIは誰の味方にもなる

その後、Aさん夫婦は互いの主張をAIに読み込ませて回答を提示し合うようになりました。どちらがより説得力のある文章を引き出せるかという、奇妙な応酬です。会話は次第に減り、代わりにスマートフォンの画面が両者の証拠として並びます。

しかし、AIというのは、書いた人に寄り添って、忖度することもあるのです。そのため、Yさんが「夫が悪いですよね」というとAIは「そうですね」といい、Yさんの夫が「妻が悪いよね?」とというとAIは「そうですね」と言います。

高校生の息子は冷静に指摘します。「AIは聞き方によって答えが変わる。質問者に寄り添う文章を作るだけだから、判定にはならない」と。しかしAさんは「そんなことはない」と語気を強めます。自分の正当性を裏づけてくれる存在を、簡単に手放すことはできなかったのです。

中学生の娘はさらに淡々としています。「似た者同士でお似合いだね」と言い残し、自室へ戻ります。両親のやり取りは、子どもたちの目には滑稽に映っていました。

AIは入力された情報をもとに文章を組み立てます。前提が変われば、結論も変わります。それでも「機械が言っている」という響きは、人に客観性の幻想を与えます。それでも、コンピューターの検索結果は、多くの人はそれが中立で絶対に正しい意見のように感じてしまいます。だからこそ、自分の主張が正しいと証明された気持ちになるのです。

正しさを競うたびに必死にスマホを見て、検索窓を開くYさん夫婦。しかし家庭に必要なのは判決文ではなく、相手の言葉を最後まで聞く姿勢と、相手を思いやる気持ちではないでしょうか。AIは便利な道具ですが、家庭内の最終審判ではありません。画面越しの正論よりも、目の前の対話こそが、関係を修復する唯一の方法なのかもしれません。

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