「【※重要なお知らせ】#拡散希望
現在、菊水産業株式会社の会社情報を無断で掲載した、当社とは無関係のwebサイトを確認しております。 当社が運営する公式販売ページではありません。アクセス、個人情報の入力、ご注文、ご決済はされないようご注意ください」
注意を呼びかけたのは、全く無関係の通販サイトにより会社名・所在地・代表者名を利用された菊水産業株式会社(@kikusui_sangyo)です。今回の詐欺と、対応策について大阪府警に確認しました。
大阪府河内長野市で国産爪楊枝を製造する同社社長の末延秋恵さんは「勝手に名前を使われたことも腹立たしいですし、買い物をして、お金を払った人もいます。うちも利用した方も被害者」と憤懣。
「万が一、購入・決済・個人情報入力をされた方は、URL・注文画面・メール・決済明細を保存し、警察またはサイバー犯罪相談窓口へご相談ください。 他にも不審サイトを見つけた方も、公式窓口への情報提供にご協力をお願いします」と注意喚起。
今回、発覚からの一部始終を取材しました。
サイトを見た人からの情報提供で発覚
5月6日に末延さんの元に届いた一通のDMが、偽サイトの存在を知らせることとなりました。
「ネットでカメラを購入しようとしたら、菊水産業さんが運営しているサイトに辿り着きました。爪楊枝の製造会社だと思うのですが、カメラも取り扱っているのでしょうか?」という問い合わせに、末延さんはすぐさま該当のサイトをチェック。
ファッション、DIY、スポーツ/アウトドア、インテリア、ゲーム・おもちゃなどさまざまなカテゴリーの商品を取り扱うサイトを運営する会社として、同社の名称、所在地、代表者名が掲載されていました。
「弊社は、爪楊枝を製造する会社です。木や竹を使ったキッチンツールも取り扱っていますが、カメラなどの販売は行っていません。URLも弊社のものではなく、身に覚えのないものでした」
すぐにDMの送り主にその旨伝えたところ、「偽サイトなんですね。楽天やアマゾン、ヤフーのサイトより、安い価格設定に怪しいなと思ったんです。購入せずに、問い合わせて良かった!」との返答。
5月7日にもDMと同様の問い合わせ電話が会社にあり、購入を阻止することができました。
とうとう、被害者が現れて…詐欺を確信
さらに、5月7日の午後には新たな問い合わせが。それは、「菊水産業さんが運営しているショッピングサイトで中古のゴルフクラブを購入したのですが、本当に御社のサイトなのでしょうか?」という内容。
同社の名を勝手に使っているサイトであることを伝えた末延さんは、どのような経緯でそのサイトに行き着いたのかなどを把握するために、買い物をしてしまった被害者の方と情報交換を続けました。
【末延さんが被害者から教えてもらった被害に至るプロセスおよび内容】
ゴルフクラブをGoogleで検索していたところ、偽サイトにヒット。あまり出回っていないレアなゴルフクラブだったため、購入
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注文完了画面に、「末延秋恵」と代表者の氏名が現れ、「実在する会社のサイトなんだ」と信用。また、注文完了を知らせるメールにも「平素より、末延秋恵をご愛顧いただき、ありがとうございます」との文言
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支払い方法も一般的な通販サイトとは異なった形式。銀行振込指定のメールが届く。複数の銀行を明記しているものの、ゆうちょ銀行での振込を強く推す内容だった
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ゆうちょ振込を促していたが一転、「口座の都合で振込を受けられない」などの不自然な説明があり、「PayPayなら200円割引します」とPayPay送金へ誘導される。おかしいと思い、PayPay送金での支払いには応じず、ゆうちょ振込を行う
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その後、「発送します」のメールが届いたが、しばらくしてから「在庫切れです。返金しますので、LINEのQRコードにアクセスお願いします」との知らせ。騙されたことを確信し、偽サイト側からのコンタクトは一切リアクションせず、放置。「これで本当に商品が届いたら、それはそれで驚きです」
一連の経過報告を受けた末延さんは、「ご自身が被害に遭われたにもかかわらず、菊水産業のことまで心配して何度も情報をくださり、本当に感謝しております」。
被害者の方は郵便局に相談にも行ったとのことですが、商品が届かなかった場合、警察への相談・被害届の提出が必要になる可能性があると言われたそうです。
その後の経過を聞いた末延さんによると、被害者の方のもとには
・キャンセルに伴う返金手続きについての複数回のメール
・LINEやPayPayのQRコードやURLでの返金手続きを装った銀行口座などの情報引き出し
があるとのこと。
「徹底的にお金をむしり取る段取りのようです。本当に悪い輩です」と話しているそうです。
少額被害では捜査が及びにくい?
会社情報や名前が無断で使われていたことから、7日の時点で大阪府警察本部サイバーセキュリティ対策課の窓口に通報したそうです。
「偽サイトのスクショ保存を保存するように言われました。もし、被害者が現れて、被害を訴えられた場合、弊社が関与していないことの証拠になるから必要ということでした」
各ブラウザへのフィッシング報告なども末延さん自ら動きました。予想外だったのは、警察が偽サイトの削除要請を行えないこと。
「事業者側から削除要請をしないといけないと言われましたが、削除までには時間がかかります。その間に、被害を受ける方は出てくるかもしれないのですが…。今回の場合、菊水産業としての被害は会社情報や名前の無断使用、被害者の方は1万円未満の金額です。
被害の規模が小さいと、これ以上の踏み込んだアドバイスや捜査はできないのかな、と思いました。もっとたくさんの被害者がいて、金額が膨大になったら、捜査の手も及ぶのかもしれません」
怪しいと思ったらすぐスクショ&速やかな通報
菊水産業の偽サイトに限らず、ネット上には偽サイトと思しきサイトが存在しています。偽サイトを発見した場合や利用した場合の、購入者や企業の対策を大阪府警に取材しました。
【被害に遭わないための予防策】
・OSやアプリ等のアップデートなどを行い、PC・スマホの安全性を保つ
・「.xyzや.click等の見慣れないドメイン」「相場より極端に安い価格」「全商品割引」「支払い方法が表記と異なり銀行振込やクレジットカード決済に限定」等の特徴がある場合は注意
・実在企業の会社概要を無断転載していることがあるので、信用しない
・「品切れのため、返金手続きをスマホ決済サービスで行う」等と騙り、更なる送金を求める
・購入してしまったなどの被害に遭った場合は、最寄りの警察署または警察本部に通報、相談
【偽サイトを発見した企業の対策】
・最寄りの警察署または警察本部に通報、相談
・「当社を騙る偽サイトが存在しています」旨の注意喚起
・事後トラブルに備え、偽サイトの画面(無断使用されている部分の)をスクリーンショットなどで撮影・保存
・ドメインやサーバーの管理会社に、偽サイトの削除要請
・検索サイトへ、偽サイトが検索結果に表示されないよう、通報・協力要請
・インターネットホットラインセンター(IHC)等への通報・協力要請
・被害に遭われた方からのクレームや問い合わせ等があった際の警察への通報・相談を依頼
正規のサイトと偽サイトを誤りなく区別できるのは無断使用された企業のみであるため、偽サイトの削除要請や検索サイトへの協力要請は、該当企業に行なってもらうことになっています。
大阪府警の公式サイトの「サイバー犯罪対策」ではさまざまな犯罪の事例を交え、注意喚起を行なっています。どんな手口があるのか、事前に確認した上で購入の検討を意識してはいかがでしょうか。
その後の偽サイトは…小規模企業が危険?
菊水産業では、偽サイトの発覚後、SNSで随時情報を発信していましたが、8日の昼頃に偽サイトが消滅。
「削除されたのか、自分たちで消したのかは分かりません。たくさんの方が拡散してくださったことも、少なからず影響があったのではと思っています。まさか我が身にふりかかるとは思いませんでした」
末延さんが注意を呼びかけるSNSを逐一発信し続けた今回、同様の被害にあった人や、同じく注意喚起する人もいました。
「全く同じデザインと手口の偽サイトにてクレジットカード情報を盗まれてデジカメを2台購入されました」
「PayPay送金に誘導するものは『全て』『100%』詐欺です。商品が売り切れてしまったのでPayPayで返金する、と誘導するものも『全て』『100%』詐欺」
今回は、偽サイトが削除されて、いったん終息を迎えましたが、「これで終わりではない」と末延さん。
「別の会社の名を使って、同じ手口でやると思います。それも大企業ではなく、規模の小さい中小企業。サイトのチェックなどを専門にやる従業員もいないような会社を狙って、短い期間で偽サイトを運営して、騙すだけ騙して、あとは削除すれば足がつかないでしょう。
お金を払った被害者の方も詐欺と気づかず、商品が届かないな、返金依頼したけど返金されてないなぁ、と日々を過ごして、だいぶ経ってから騙されたかも、と思うのではないでしょうか。今も、まだ判明していないだけで、弊社だと思って『サイトで注文したのに、商品が届かない』などの問い合わせが来る可能性もあると思っています」
利用者側が注意するしかない現状
該当の偽サイトについて、末延さんはパッと見、偽サイトとはわからないような仕上がりで、詐欺師もアップデートしていると感じたそう。
「ジャンルを分けて、商品数もかなり豊富で、突貫工事で作ったようなサイトではない印象でした。特定商取引法に基づく表示もしっかり作り込まれていましたし、会社の資本金や従業員数、売上高も信用できそうな内容で。事業の目的はいろいろありすぎて、何やってるん?とツッコミどころもありましたけど。
今回、被害に遭われた方は、“中古でレアな商品だから欲しくなった、低価格だけど中古だからこの価格なのかなと思った”とおっしゃっていました。買い物をする人の心理もついてくる商品展開や価格設定にしているのでは」
ただ、一人ひとりの被害額は少額で、騙されたとその瞬間はわからないこともあるため、泣き寝入りも多く、顕在化しにくいのが現状。
「偽サイトを封じ込める手立てがないから、悪事を働く側のやりたい放題。通販サイトを利用する方が、注意するしかないんですよね。低価格すぎるのは怪しいと思っていただきたいですし、会社情報もしっかり確認していただきたい。
怪しいと思ったら、会社の公式窓口に情報提供もいただきたい。商品を提供する企業としては見つけたら、即行動するしかありません」
【菊水産業株式会社関連情報】
■X @kikusui_sangyo
■Instagram @kikusuisangyo
■大阪府警サイバー犯罪対策 https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/saiba/index.html
■警察庁「偽ショッピングサイト・詐欺サイト対策」https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/countermeasures/fake-shop.html
■【一般財団法人 日本サイバー犯罪対策センター】悪質ECサイトホットライン https://jc3.or.jp