日本国内で麻疹の発症報告が急増している。
しかも発症例の多くが、海外への渡航歴がなく、日本国内で麻疹患者との接触で感染しているという。
GW明けの爆発的な感染拡大に医療関係者らが警鐘を鳴らすなか、「ワクチンは無意味。わざと麻疹に感染して免疫をつける」と考える人がいるという。
これに対して、「自殺行為以外の何物でもない」と、X(旧Twitter)に投稿した、グァバちゃん(@BanziroG)さん。
「これあまり知られてないんですが、麻疹(はしか)に感染するとそれまでに獲得してきた他の感染症に対する免疫が文字通り「リセット」されることがあります。いまだに免疫をつけるためにわざと麻疹に感染しようと考える人がいますが、自殺行為以外の何物でもないので絶対にやめましょう」
免疫獲得よりも、死亡・後遺症を負うリスクが大きい
感染症マニアだというグァバちゃんさん。
「自然感染」と「ワクチン接種」の違いについて詳しく聞いたところ、どちらも「麻疹ウイルスに感染する」という点では同じだが、その後の経緯がまったく異なるという。
「麻疹に自然感染すると、強力な免疫を獲得できることは確かです。しかし、麻疹に感染すると強い免疫抑制状態となり、肺炎や脳炎といった重篤な合併症を起こします。特に乳児が感染すると、まれに感染から数年後に発症し植物状態となる『SSPE(亜急性硬化性全脳炎)』という極めて重篤な合併症を起こすこともあります。
さらに最近は、上述の免疫リセットのリスクがあることもわかっています。総じて、麻疹に自然感染することは、免疫を獲得できるメリットよりも、病気により死亡・後遺症を負うリスクの方が大きいことがわかります。免疫を獲得するために感染しに行くのは自殺行為といえるわけです」(グァバちゃんさん)
感染しても「無症状が軽症」で済むのが「ワクチン」
一方、「病気になることなく、安全に感染して免疫を獲得することができる」のが「ワクチン接種」なのだという。
「麻疹ワクチン(日本では風疹ワクチンとの混合ワクチンであるMRワクチンが主流)には、弱毒化した麻疹ウイルスが入っています。しかし、弱毒ウイルスは通常の麻疹ウイルスと違い、病気を起こす力をほとんど持ちません。そのためワクチンを接種することで、病気になることなく、安全に感染して免疫を獲得することができるのです。
なお、麻疹への免疫を獲得した後も、大量のウイルスに晒されると麻疹に感染してしまうことはあります。ただ、その場合は無症状~軽症で済むことがほとんどで、SSPEや免疫リセットといった重篤な合併症も防げます。最近は接種歴が2回あっても麻疹に感染するケースも報告されていますが、そのほとんどは無症状か軽症です。決してワクチンが効いていないわけではなく、むしろワクチンの有効性が証明されているといえるでしょう」(グァバちゃんさん)