みなさんは、自身の職場または利用するお店に、盲導犬ユーザーが入ることについてどのように思いますか。公益財団法人日本盲導犬協会が実施した「盲導犬および視覚障害」に関する意識調査によると、事業所で働く従業員の4割がユーザーの受け入れに戸惑いを感じている一方で、一般市民の約7割が盲導犬の受け入れに「賛同」していることがわかりました。
調査は、飲食業、宿泊業、医療業、小売業、不動産賃貸業、生活関連サービス・娯楽業、複合サービス・金融業、交通機関(バス・タクシー・鉄道)のいずれかの業種で働く全国の20~69歳の男女1000人を対象として、2025年12月にインターネットで実施されました。
まず、自身の勤め先について「今後盲導犬ユーザーの利用を受け入れますか」と聞いたところ、「受け入れる」は59.6%、「どちらともいえない」は33.2%、「受け入れない」は7.2%という結果になりました。
「受け入れる」とした人が多かった業種については、「公共交通機関(鉄道)」(70.0%)、「公共交通機関(バス)」(65.0%)が上位となり、公共交通機関という特性上、ユーザーや視覚障害者が利用する機会が多いことから、前向きな回答が比較的多い結果となりました。一方、宿泊業では「受け入れる」が53.0%にとどまり、「どちらともいえない」が37.0%、「受け入れない」が10.0%となりました。飲食業でも「受け入れる」は59.0%で、業種によって受け入れ意識に差があることがうかがえます。
一方、盲導犬ユーザーの利用を「受け入れない」理由としては、「衛生面が心配」(30.6%)、「店舗・施設が狭く、安全確保が難しい」(26.4%)、「アレルギーを持つ利用者への対応が難しい」(23.6%)といった理由が挙げられました。
また、「どちらともいえない」とした理由については、「実際に受け入れたことがないためイメージできない」(35.2%)、「社内で方針が定まっていない」(27.4%)、「他の利用者の反応がわからない」(19.6%)などの意見が聞かれました。
さらに、「勤め先に盲導犬が入ることへのイメージ」を尋ねたところ、「受け入れない」と回答した人は「盲導犬が入ることは不衛生」「盲導犬が入ると他のお客様に迷惑」(いずれも43.1%)、「どちらともいえない」と回答した人では「盲導犬が入ることは不衛生」(25.0%)、「盲導犬が入ると邪魔」(17.8%)という回答が上位を占めました。
なお、「勤め先に盲導犬が入ることに対して懸念に感じること」を自由記述で答えてもらったところ、「他のお客様が盲導犬を見て、驚いたり、嫌がる態度をするかもしれない」(飲食業)、「他のお客様からクレームがないか心配」(宿泊業)、「衛生的にほかの動物が入ることは禁止しているのに、盲導犬だけ入っていいものか心配」(医療業)といった意見が目立ちました。
市民の76.9%が「盲導犬ユーザーにも利用してほしい」
では、実際に盲導犬ユーザーの利用は周りの他のお客様にとって迷惑になるのでしょうか。
同協会が一般市民1200人を対象として、2025年8月に実施した調査によると、「よく利用する店舗・施設・交通機関を、盲導犬ユーザーにも利用してほしいと思う」と答えた人が76.9%にのぼりました。
また、「自身がよく利用する店舗・施設・交通機関を盲導犬ユーザーが一緒に利用するとしたら、心配ですか」という設問を、盲導犬の「衛生面」や「行動面」など9つの観点で確認したところ、いずれの項目も約7割の人が「心配ではない」と回答しました。
さらに、「身体障害者補助犬法に基づき、盲導犬の同伴が認められていること」への是非については、83.2%が「良いと思う」と回答。法律について「障害者がお店を利用する権利を考えると妥当だと感じる」は71.0%にのぼり、盲導犬ユーザーと一緒に施設を利用することに対してネガティブに感じている市民は半数にも満たず、「自分がよく利用する店舗・施設・交通機関を盲導犬ユーザーにも利用してほしい」という意見は、ユーザーの社会参加を大きく後押しするものであることが示唆されました。
盲導犬の待機場所~盲導犬には広いスペースが必要?
同協会によると、盲導犬はユーザーの足元で静かに待機することができるため、特別に広いスペースを必要とするわけではないといいます。座席の広さによっては、横ではなく、自分の足とイスの間に犬を入れて待機させるなど、ユーザーが犬に適切に指示を出したり、お座敷のような土足禁止の場所に上がる際には、タオルで足を拭いたり、敷物を敷くなどの配慮をしているそうです。
しかし、「ユーザーが適切な犬の管理に関する知識や技術を習得していること」について、「知らない」と回答した事業所で働く従業員は46.4%と半数近くにのぼっています。
また、盲導犬は必ずハーネスという道具を身に着けており、周囲の方々に盲導犬であることが分かるように表示がされていることを「知らない」とした従業員は60.4%に達しています。
なお、盲導犬ユーザーは盲導犬使用者証という法律に基づいた書類を携帯しており、盲導犬かどうかを確認するために、こうした表示や書類を確認することは失礼なことではないといいます。
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これらの調査結果を踏まえて同協会は、「お隣の席になるお客様に対して、『お隣に盲導犬をお連れのお客様をご案内します。何かご心配なことがありましたら、スタッフへお声がけください』などと一言お声がけするだけでも、十分な配慮となります。もし『犬が苦手』『アレルギーがある』などの申し出があった場合には、ユーザーへ事情を説明した上で、離れた席へ案内する、動線を分けるなどの工夫をすることで、お互いが安心して利用することができます」とコメントしています。