ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(東京都港区)は、このほど「子宮頸がん検診」に関する意識調査を実施、その結果を発表しました。それによると、子宮頸がん検診を未受診の主な理由は「なんとなく」が約4割にのぼることがわかりました。
調査は、全国の30〜60歳の女性2047人を対象として、2025年11月~12月の期間にインターネットで実施されました。
厚生労働省の「がん対策推進基本計画」によると、子宮頸がん検診の受診率目標は60%と定められています。しかし、日本の子宮頸がん検診の受診率は43.6%に留まっており、目標達成には大きな乖離があるといいます。
そこで、直近2年以内に「子宮頸がん検診を受けていない理由」を聞いたところ、「なんとなく」(43.3%)、「忙しい」(11.9%)、「症状がないため」(11.4%)が上位に挙がり、特に「なんとなく」と答えた割合は、未受診期間が長くなるほど多くなる傾向が確認されました。
その一方で、子宮頸がん検診における「定期的受診の必要性」については、過去に受診経験のある層の8割以上が「知っている」と回答していることから、この「定期受診の必要性に対する高い認知」と「実際の行動」のギャップを埋めるためには、受診を阻む心理的・物理的なハードルの改善が重要であることがうかがえました。
続いて、従来の細胞診よりも高い精度でリスクを判定できるのが特徴で、検査結果が精密検査不要(HPV検査陰性)であれば、次回の受診期間を「2年に1回」から「5年に1回」に延ばすことができる「HPV検査単独法(ヒトパピローマウイルス検査)」の認知度を調べたところ、「具体的な内容を知っている」「ある程度知っている」のは未受診者間で20.0%にとどまり、約8割がこの新しい選択肢を認知していないことが判明しました。
一方、2年以内に受診歴がある層では「HPV検査」の認知度が39.6%と、未受診者との間に約20ptの差があり、検診から遠ざかっている層と比較して、より積極的に検診に関する情報を受け取っていることがわかりました。
また、直近2年間未受診層が、検診の頻度が5年に1回になることで、「子宮頸がん検診を受けようと思う気持ちが強くなる」と答えた割合は41.1%。さらに「忙しい」という理由で受診から遠ざかっている層では、61.9%が受診に前向きな意向を示しました。
次に、「疾患に関する知識・情報認知の状況」を調べたところ、子宮頸がんは「自覚症状がないまま進行すること」や「早期発見・早期治療で治ること」といった疾患リスクに関する知識が、直近2年以内に受診した層に比べて、未受診層の平均は20pt以上低くなり、子宮頸がん検診の未受診期間が長い層ほど、検診や疾患に関する知識・情報認知が低い傾向にあることが明らかになりました。
他方、直近2年以内に受診した層に、「子宮頸がん検診を受診したきっかけ」を聞いたところ、「市町村からのクーポン・案内状」(40.5%)が「かかりつけ医からの勧め」(17.9%)や「職場からの勧め」(16.1%)を大きく上回りました。
これを有職者に限定した場合でも「市町村からのクーポン・案内状」(36.8%)が最多となり、「職場からの勧め」(21.1%)よりも高くなったことから、受診の準備や費用負担に関する障壁を取り除く具体的な情報提供が、受診の意思決定を後押ししていると考えられます。
最後に、「市町村が実施する子宮頸がん検診の認知度」を調査したところ、直近2年以内に受診していない層においても、76.2%が「知っている」と回答し、自治体検診に関する基本的な情報が浸透している一方で、受診に至っていない現状において、未受診者に実際の受診行動を促すには、心理的・物理的な障壁を取り除き「行動に移す」ためのさらなる具体的なアプローチが必要であることがわかりました。
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このような調査結果を踏まえて自治医科大学名誉教授の今野良氏は、「成人女性が体系的に子宮頸がんについて学ぶ機会は限られており、自分事として捉えにくい現状がある。受診行動に繋げるためには、こうしたリテラシー向上だけでなく、物理的・経済的な障壁を取り除くことが極めて重要」と述べています。