先日、「元妻3人や元カノ全員が『子宮頸がん』で亡くなったという男性がいた」といった内容の投稿がX(旧Twitter)上で大きな話題となった。
「子宮頸がん」の発症原因は、性交渉により感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)。
亡くなったとされる女性全員が同じ男性の「妻」や「恋人」であったことから、「その男性が感染源では?」「子宮頸がんは男性側がウイルスを持ってることをもっと知ってほしい」といった声が多くあがった。
果たして、こういったケース(当該男性が全員の感染源)はあり得るのか?
順天堂大学産婦人科助教で、がん認定医の平沼賢悟先生にお話を聞いた。
「男性」も「女性」から感染することも
ーー元妻や元カノなど、特定の男性が関わった女性全員が「子宮頸がん」で亡くなった場合、HPVの感染源はやはりその男性である可能性が高いのでしょうか?
「感染経路は性交渉なので、その男性が原因かもしれないですし、それ以前のパートナーが原因であるかもしれず、特定はできません」
ーー「子宮頸がん」の原因となる「HPVウイルス」を保有しているのは「男性」である、という認識は正しいのですか?
「男性も女性も保有している可能性があります。男性の場合、保有している女性から感染します」
「HPV」が原因で「男性」も「がん」に
ーー男性である平沼先生ご自身も「HPVワクチン」を接種されているそうですね。やはり「男性」もワクチンの接種が望ましいのですか?
「はい、男性も接種することが望ましいです。女性にうつさないためにもですし、HPVは陰茎癌、肛門癌、中咽頭癌の原因にもなるので、男性自身を守ることにもなります」
ーー「子宮頸がん予防ワクチン」については、デマや誤解も多いかと思います。婦人科がんの治療に日々向き合っていらっしゃる平沼先生から、改めてみなさんに知ってほしいことはありますか?
「HPVワクチンに関するデマも流されておりましたが、現在は積極的勧奨となり、多くの方が接種するようになりました。打てる方は打って欲しいですし、打てなかった方は忘れずに検診を受けるようにしましょう。
子宮頸がんには検診が有効です。会社や自治体の婦人科がん検診を受けましょう。子宮頸がんは20代~30代でも罹患します。早期発見できれば手術や放射線化学療法での根治が見込めます」
「子宮頸がん」は予防ができる
「子宮頸がんはAYA(アヤ)世代と呼ばれる、20~30代の若い世代でも罹患するがんです。医療の進歩によりワクチンでほぼ防ぐことができます」と、平沼先生。
また、男性にとっても「HPV」はさまざまな「がん」の原因となるため、男性自身と大切な人を守るためにも「HPVワクチン」の積極的な接種が望ましいそうだ。