週末のアウトレットで買い物を楽しんでいた20代の女性会社員のAさんは、ふと高級チョコレート店「リンツ」の前で足を止めます。そこでは店員が道行く人に、まるごと1粒のリンドールチョコを配布していました。歩き疲れていたこともあり、その甘い誘惑をありがたく受け取って口に入れた瞬間、流れるような動作で目の前に「透明のビニール袋」が差し出されました。
何も考えずにその袋を手に取ったAさんは、店内に並ぶ宝石のようなチョコレートを眺めているうちに、ある事実に気づいて愕然とします。それは、先ほど受け取った袋がただのビニール袋ではなく、好きなチョコを詰めて購入するための「量り売り専用」の購入袋だったことです。
1粒100円ほどするリンドールをタダで味わってしまった手前、Aさんは袋を返して手ぶらで店を出る勇気がありません。気まずさに負けてしまったAさんは、気づけば袋に3000円分ものチョコレートを詰め込み、レジに並ぶのでした。
Aさんがチョコレートを購入するきっかけとなった「試食配布から袋渡し」への一連の流れは、マニュアル化された戦略なのでしょうか。多くの人が抱く「試食だけして何も買わずに退店しても許されるのか」という疑問を、リンツ&シュプルングリージャパンに聞きました。
あくまでホスピタリティの一環 気軽に楽しんでOK
ー試食と同時に袋を渡すスタイルは、全店共通の接客マニュアルとして定められているのでしょうか?
はい、全店舗で取り入れている対応です。お客様に店内をゆっくりご覧いただきながら、お買い求めいただきやすくしたいという思いから、試食とあわせて袋をお渡しするご案内をおこなっております。
ー袋を渡すのは、購入を促すためでしょうか?
いえ、お客様がゆっくり商品を選べるようにというホスピタリティの一環でございます。本来この対応は、あくまで「ご自由にお買い物をお楽しみいただけるように」という気持ちからおこなっているものであり、ご購入を強制する意図は一切ございません。もし「今日は見るだけなので袋は不要です」といった場合には、どうぞ遠慮なくお申し付けください。
ー試食だけして何も買わずに退店されるお客さんについて、店側としてはどのように捉えていますか?
弊社では、試食だけでもお気軽にお楽しみいただきたいと考えております。これはチョコレートの魅力を知っていただくためのサービスであり、お買い上げの有無に関わらず、ご来店いただけること自体を大変うれしく思っております。もちろん、試食後にそのままご退店いただいても全く問題ございませんので、どうぞご心配なくご利用ください。
◆リンツ&シュプルングリージャパン