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バリケード突破し廃墟に侵入 ノリで友人と肝試しを楽しむ大学生 点滅する赤い光とともに現れたのは…【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

大学生のAさんは、SNSで「最強の心霊スポット」と話題の廃墟ホテルに、友人たちと軽い気持ちで肝試しに出かけました。入り口のバリケードが崩れ、窓ガラスも割れて荒れ果てたその場所は、誰の目にも見捨てられた空間のように映りました。

Aさんたちは懐中電灯を片手に「管理もされてないし、少しくらい入っても怒られないだろう」と軽い気持ちで中に侵入し、落書きだらけの壁を背景に自撮りを楽しんでいました。しかしその直後、暗闇の中に突如として赤い光が点滅し、複数の警察官が姿を現しました。近隣住民からの通報を受け、警察が取り締まりを実施していたのです。

Aさんたちはその場で「建造物侵入」の疑いで署まで連行されることになりました。震える声で「遊びのつもりだったのに」と訴えるAさんですが、警察官の表情は厳しいままです。廃墟への立ち入りはどのような罪になるのか、まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

「廃墟」であっても所有権は存在する

ー廃墟であっても、勝手に入れば「建造物侵入罪」になるのでしょうか?

その建物がどのような「管理状態」にあるかで適用される法律が変わります。

施錠されており、警備員による定期的な見回りがあるなど、所有者が事実上管理・支配しているといえる状態であれば、無断で入り込むことは刑法の「建造物侵入罪」にあたります。

一方で、実際の管理が十分でなく、事実上の支配が認められないようなボロボロの廃墟であっても、無罪放免にはなりません。この場合は「軽犯罪法」の対象となります。同法では、正当な理由なく人が住んでいない建物にひそんでいた者や、入ることを禁じた場所に入った者を処罰すると定めています。

ー警察が実際に動く境界線はどこにあるのでしょうか。

近隣住民からの苦情と実害の発生がきっかけとなることが多いようです。廃墟は火災や犯罪の温床になりやすいため、近隣住民は不審な車両や若者の騒ぎ声に敏感になっています。

実際、岡山県倉敷市にあるホテル跡地では、警察による摘発が定期的に行われ、2年間で30人が摘発されました。警察はこうした場所を「犯罪が起きやすい場所」として警戒しており、逃げ道を塞いで摘発することもあります。「遊び半分」という言い訳は、もはや通用しない段階に来ているといえます。

ー摘発された後、その後の人生にはどのような影響がありますか?

たとえ「肝試し」という動機であっても、摘発されれば立派な「事件」として扱われます。大学生であれば大学から厳しい処分を受けることは避けられませんし、書類送検されて前科がつけば、就職活動やその後のキャリアに生涯にわたる大きな足枷をはめることになります。

また、ネット上にニュースとして名前や記録が残れば、それを消し去ることは困難です。たった数十分の好奇心のために、これまで積み上げてきた努力をすべて台無しにするリスクがあるのです。

さらに、廃墟への侵入は、法律に触れるだけでなく、建物の崩落や不審者との遭遇など、命に関わる危険も伴います。自分の未来を、一時のスリルと引き換えに捨ててしまうのはあまりに悲しいことです。正当な理由のない立ち入りは、絶対にやめてください。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

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