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「また盗まれた」鍵をかけても壊される賽銭箱……地方神社が抱える深刻な現実

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「お賽銭泥棒にやられました。鍵を掛けると破壊されるので、かえって修繕にお金が掛かる。最近までは細かく回収していましたが、それでも盗られるので鍵を掛けた2日後にこれです」

そんな衝撃的な投稿が、X(旧Twitter)で拡散された。

被害に遭ったのは、栃木県那珂川町にある「延喜式内 三和神社」。格式ある神社でありながら、過去に運営資金をすべて失うトラブルに見舞われ、本殿も荒れ果て、地域でも半ば忘れられた存在になっていたという。

その神社を「もう一度、みんなの神社にしたい」と立て直しに動いているのが、総代の手塚純一さんだ。

鍵をかけた2日後、バールで破壊されていた

被害に気づいたのは、1月16日の朝だった。

「朝8時から9時の間に見に行ったら、賽銭箱がバールでこじ開けられていました」

1月11日に設置したばかりのおみくじの自販機には手がつけられておらず、狙われたのは賽銭箱だけだった。

「ほかに荒らされた形跡はなくて、完全に賽銭だけを狙った犯行でした」

交通量の少ない場所にある神社。人目を避け、慣れた手口で犯行に及んだことがうかがえる。

「鍵をかけると壊される」…それでも盗まれ続けていた

実はこの神社、これまでも何度も賽銭泥棒に悩まされてきた。

「鍵をかけると、こうやって壊されて修理代がかかる。だから、2週間に1回くらい、細かくお金を回収して対応してきました。それでも盗られることが多々ありました」

鍵をかけなければ盗まれる。鍵をかければ壊される。そんな“詰んだ状況”の中で、手塚さんは苦渋の決断をする。

「新しい運営体制になって、神社を再建するには、お賽銭も大切な資金です。もう泥棒に屈しないと決めて、鍵をかけました」

しかし、そのわずか2日後に起きたのが、今回の破壊だった。

修理費が出せず、自分で直すしかなかった

壊された賽銭箱の修理費は、本来なら1万〜2万円ほどかかるという。

「見積もりを取るお金すらないので、自分で直しました」

格式ある神社でありながら、いまの運営は綱渡りだ。

「正直、本当に生活に困っている人が持っていくなら、それもお賽銭の役目かと思ったこともありました。でも、この手口は完全に窃盗です」

バールで破壊する行為に、迷いはない。善意や困窮ではなく、明確な犯罪だった。

家にあったジャンクPCで“自作防犯カメラ”

犯行をきっかけに、手塚さんは防犯体制を強化した。

「家にあったジャンクPCにWindowsを入れて、仮設の防犯カメラにしました。ネット回線がないので、OBS(Open Broadcaster Software)で直撮りです。PCカメラも家にあったものを2台つけています」

自動更新もできず、毎日手動でチェックするという、まさに“手作りの防犯システム”だ。

「今までのスパンだと、2週間くらいでまた来ると思います」

犯人が戻ってくることを前提に、神社は見張りを続けている。

「絶対捕まえる」怒りが原動力に

被害を目にしたとき、手塚さんの感情は、意外な方向に向かったという。

「正直、逆に燃えました。手口からして、明らかに慣れている。絶対捕まえると思いました」

悔しさと怒りが、神社を守る決意をさらに強くした。

少しずつ変わり始めた、神社の風景

実は、今回の一連の出来事の裏で、うれしい変化も起きている。

「最近、氏子のみなさんが自主的に掃除をしてくれるようになりました。体制が変わると、こんなに違うのかと驚いています」

長く放置されてきた神社に、少しずつ“人の気配”が戻りつつあるのだ。

「少しずつ良い神社にしていきます」

最後に、手塚さんは読者にこう呼びかける。

「少しずつ良い神社にしていきます。その過程で、目について気になったら、お参りに来てやってください」

お賽銭箱は壊されても、神社を想う人の気持ちは、壊されていない。再建を目指す小さな神社の挑戦は、いまも続いている。

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