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高橋一生の妻役に大抜擢 17歳新人の武器は無限の好奇心 幻想譚映画「脛擦りの森」で触れた役者のオーラ

石井 隼人 石井 隼人

「見慣れない漢字だったので…ついつい調べちゃいました」

好奇心旺盛な17歳は個性的な映画のタイトルとの出会いを、冗談めかしながら振り返る。

岡山に伝承される妖怪、すねこすりをモチーフにした幻想譚『脛擦りの森』が4月10日から公開される。

高橋一生の妻役に大抜擢

若く美しい謎めいた女性・さゆりを演じるのは新人俳優の蒼戸虹子(17)。人里離れた山奥の屋敷に住む老人(高橋一生)の、物言わぬ妻というミステリアスな役どころだ。

「最初、脛の字が読めなくて…何を擦る森なのだろうか」と首をかしげたのもつかの間、脚本から湧き上がる摩訶不思議な世界観に魅了された。

「高橋さん演じる老人とさゆりは、一見すると人里離れた綺麗な景色の中で穏やかに暮らしているように思えます。でも物語の中にあるちょっとした違和感に気づき出すと、そこからガラッと怖さが見えてくる。違和感の積み重ねに“す、すごい!”と引き込まれました」

しかもさゆりのセリフはすべて「……」で書かれていた。言葉での説明が封じられた中で、さゆりというキャラクターを立体的に表さなければならない。かなりの難役のはずだが、今回は経験値の少なさが活きたらしい。

「撮影現場に参加するのはこれが3作品目だったので、何をするにしてもすべてが初めてに近い状態で。セリフが一切ないと知った時も“そういうものなんだ…”とその時はすんなり受け入れていました」

セリフのない物言わぬキャラクターの多くは、形容しがたい不気味さを醸し出すことを狙って無表情に演じられることが多い。だが蒼戸はあえてその逆でさゆりを表現。ここでも持ち前の好奇心が頭をもたげる。

「無表情でいるよりも、ちょっと微笑んでいる方が怖いような気がして。そこにさゆり発信の違和感を表すことが出来たらと思いました」

雪山で現実感喪失

雪が深々と降り積もる岡山の山奥で撮影。

「最寄りのホテルから車で1時間くらいの、一人だったら絶対に辿り着けないような場所。時間や空気の流れが違う気がして、とても寒いはずなのに寒さを感じる事すら忘れてしまう感覚に包まれました。さゆりがいつも着ている巫女さんのような衣装とゴムの長靴を履いてそこに立つと…現実感が無くなるというか。これがさゆりの日常なんだ、と感じることができました」

約4時間にもわたる特殊メイクを施して白髪の老人に成り切った夫役、高橋一生の居住まいも異世界感に拍車をかけた。

「囲炉裏の傍に静かに座っているだけなのに放たれるオーラや空気は別物で、時の流れの重みを感じました。老人に扮した高橋さんの背中を見ているだけで“ずっとここで暮らしていたんだ…”と納得させられて。高橋さんの近くにいるだけで非現実的な世界に入ることができるような気がしました」

2025年末公開の映画『白の花実』でスクリーンデビューしたばかりの新人。しかし物語を読み込む洞察力と感受性の高さはなかなかのもの。ベテラン俳優・高橋との共演は、俳優としてのスタートダッシュを後押しする大きな起爆剤になった。

「これからもいろいろな作品や役と出会って表現の幅を広げていきたいです」

蒼戸は好奇心を武器に飛躍を誓っている。

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