同じ場所を訪れても、人によって「見えている景色」は異なることがあります。異なる背景を持つ外国人観光客と日本人観光客が同じ地域で見た景色を比較することで、その地域が持つ新たな魅力や情報の伝え方を再発見できるのではないか…そのような仮説のもと、株式会社JTB総合研究所(東京都港区)が、SNSに投稿された鎌倉観光の写真から、それぞれの色味や被写体、画角などの分析を行い、「外国人観光客と日本人観光客が切り取る、それぞれの鎌倉」としてまとめました。
調査は、2025年9月〜11月の期間に鎌倉を観光で訪れた外国人観光客200人(欧米豪100人、アジア100人)、日本人観光客200人のInstagramに投稿されている画像(#鎌倉、#kamakuraで上位表示されたもの)の特徴を分析しました。
まず、外国人と日本人それぞれ200枚の写真をすべて10%に透過し重ね合わせて全体の色味の傾向を分析したところ、鎌倉は、外国人には青や深緑を含む「寒色」の、日本人にはオレンジや黄みが強い「暖色」の色味の印象が強い傾向が見られ、全く異なる色味であることがわかりました。
そこで、色味の違いを探るべく、外国人と日本人の被写体を比べたところ、外国人は「大仏」が53.5%を占める一方、日本人は「グルメ」の写真が49.0%を占め、外国人は一枚も見られませんでした。
また、観光客にも人気のローカル線“江ノ電”の駅では、外国人観光客は「鎌倉高校前」、日本人観光客は「極楽寺」の画像が多くみられました。どちらも漫画やドラマの聖地巡礼スポットとして知られている場所です。
「鎌倉高校前」では駅横の踏切の写真が多く見られ、外国人では7.5%を占め、日本人では1%に留まる一方で、「極楽寺」では駅舎を映した写真が日本人では1.5%、外国人では一枚もなかったことから、国によって人気の作品が異なり、旅のきっかけや目的の違いがうかがえました。
なお、「自撮り」については、日本人が15%を占めたのに対して、外国人観光客では3.5%、さらに「着物」を着た自分の写真は、日本人の5.5%に対して、外国人では後ろ姿の写真一枚のみでした。
欧米豪の観光客とアジアの観光客が投稿した写真の比較では、色合いはどちらも青字に深い緑や黒が入ったような「寒色系」の色合いとなったものの、被写体を見ると、欧米豪は「大仏」が70.0%を占めたのに対して、アジアでは「江ノ電」(30.0%)や「鎌倉高校前駅」(15.0%)が多くなり、欧米豪の旅行者は、日本らしい歴史文化の写真、アジアの旅行者は、親しんでいるマンガやドラマの聖地に惹かれる傾向が見られました。