Aさんは小学3年生の娘を育てる母親です。最近子ども同士で、シール交換をするのが流行しています。そんなある日、近所のスーパーで偶然会った友だちBちゃんの母親から、「お宅のお子さん、うちの子のシールを勝手に奪ってますよ。泥棒と同じなので止めさせてください」と突然注意されます。Bちゃんの母親から突然かけられた強い言葉に、Aさんは戸惑いを隠せませんでした。
娘に確認すると、「ちょうだいと言ったらくれた」と言っており、盗んだわけではないようです。この状態で泥棒と言われたことにAさんは違和感を覚えています。
このような子ども同士のトラブルの対処として、保護者はどのように関わっていくべきなのでしょうか。うららか相談室のきもと もえさんに話を聞きました。
子どもの気持ちや保護者自身の思いを主語にした問いかけを
ー子ども同士の物のやり取りについて、どこまで介入すべきなのでしょうか。また、どのような点を大人は確認・配慮する必要があるのでしょうか。
このケースでは、近年のシールブームによって、シールが「子どもだけのもの」ではなく「親子で集めた大切なもの」となりやすく、親と子の心理的な境界が引きにくくなっている可能性が考えられます。介入すべきか、距離を取るべきかといった判断において、どちらが正しいかに焦点を当てすぎてしまうと、かえって混乱の中に巻き込まれてしまうこともあります。
トラブルをきっかけにお金や物の価値について親子で改めて話し合う機会を持ったり、子どもの持ち物について各家庭で「自分だけで楽しむもの」「人にあげてもよいもの」などの認識を共有しておいたりすると、安心につながるでしょう。
ー突然、相手の保護者から強い言葉で指摘を受けた場合、当事者の親はその場でどのように対応するのが望ましいでしょうか。
可能であれば時間を置いて気持ちを落ち着けたうえで、状況を整理し、冷静に対応することが望ましいでしょう。
その場ですぐに返答を求められる場合でも、「子どもに聞いて状況を確認させてください」と伝え、相手を否定せずに距離を保ちながら対応することが大切です。自分の身を守りつつ、感情的な対立を避ける姿勢が、結果的にトラブルを大きくせずにすみます。
ーAさんのような出来事を経験したあと、家庭ではどのような声かけやフォローが有効でしょうか。
子ども同士のやり取りでは、勘違いが生じたり相手の気持ちをくみ取りきれなかったりして、トラブルにつながることは少なくありません。
そのため、前後のやり取りや相手の反応、子ども自身がどのように考えてその行動を取ったのかを丁寧に聞き取り、一緒に整理していくことが大切です。
その際、「Bちゃんの親が泥棒と言っていたよ」といった、第三者を通じて伝え聞いた内容から話を始めてしまうと、言われた子どもは、叱られるのではないか、責められるのではないかと身構えてしまいやすくなります。
「友達とのシール交換で困っていることはない?」や、「私が少し心配になって」といったように、子どもの気持ちや保護者自身の思いを主語にした問いかけであれば、子どもも安心して受け取り、気持ちを話しやすくなるでしょう。
◆きもと もえ 臨床心理士・公認心理師/うららか相談室
精神科病院や学生相談など、様々な現場で10年の相談経験を持ち、性格や人間関係、家族関係、子育てなど、幅広い相談に対応。
https://www.uraraka-soudan.com/counselor/326
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