「【重度知的障害|自閉症の娘】行事を諦めたくない!我が家の七五三のカタチ」
そう題した動画をSNSに投稿したのは、重度知的障害を伴う自閉症の女の子、ちーちゃんのママ。晴れ着を着て、祈祷をし、記念撮影をするーー知的障害があるちーちゃんにとって、決して簡単に迎えられる行事ではありません。それでも挑戦したちーちゃんとその家族の”自分たちらしい行事”について、ママに話を聞きました。
YouTubeに投稿された10分の動画には、初めての”着物選び”に挑戦した準備の日、そして祈祷と撮影を行う当日の様子が映し出されます。
会話ができず、指示が通りにくいちーちゃん。着物の試着だけでも、動き回ったり、嫌がったりとスムーズに進まないことも。そのような状況の中、ちーちゃんが突然1枚の着物を自分で手に取りました。お気に入りの着物に腕を通し、満足そうに鏡の前で歌い始めるちーちゃんの姿に、ママも驚いたそうです。
4歳の弟、のぞくんと共に迎えたご祈祷と撮影の日。なんとかシャッターチャンスを得ようと、ママが常時お菓子を用意したり、声かけをしたり、様々な工夫をしながら、のびのびと無理のない撮影が進んでいきました。最終的に仕上がったのは、姉弟の自然な表情が引き出された素敵な写真たち。思い出に残る七五三の家族写真で動画は締めくくられました。
障害があっても、最初から諦めない。工夫して探す、”我が家のカタチ” ママに話を聞いた
七五三、結婚式、旅行やキャンプなど、障害があっても諦めず、前向きにチャレンジを続けているちーちゃんのママ(@candnmama)に話を聞きました。
ーー今回の七五三で工夫したことを教えてください。
前回の七五三では、早朝から着付けとヘアセットをそれぞれ別の場所で行い、その後神社へ移動してロケーション撮影と祈祷をするスケジュールでした。自閉症の娘が迷惑をかけないように馴染みのある方々に協力してもらったのですが、スケジュールの過密さから後半は抱っこを求め、着物は着崩れ…。親子共に体力の限界でした。
今回は、前回を踏まえて自宅での訪問着付けに変更。ヘアセットは私が自力で頑張るはずが……感覚過敏のため、娘の頭にお花を1つ付けるのが精一杯でした。神社でいつ抱っこを求められてもいいように、私は訪問着ではなくフォーマルドレスにしました。
撮影は、娘の動きに合わせて撮影していただけるロケーション撮影を前回同様選びました。撮影と神社の祈祷を一度にまとめて行えるので、ストレスが少なくリアルな思い出を形に残せて良かったです。
他に工夫したのは、神社の祈祷は平日に行ったことです。人が少なく、ほぼ貸切だったので、気持ち的にも楽でした。あと、大好きなお菓子で釣りながら撮影しました(笑)
靴は、草履ではなくフォーマルシューズにし、バッグは使わず。完璧じゃなくても、娘が無理なくできそうな方法を選びました」
「自分で着物の柄を選んでほしい」と挑戦したレンタル着物 結果に成長を感じた
ーー今回は『レンタル着物』にも挑戦されたそうですね。
「前回の七五三では、自前のお宮参りの産着を仕立て直して着用しましたが、今年は『自分で着物の柄を選ばせてみたい!』と思い、レンタル着物に挑戦しました。
カメラマンさんにご紹介いただいた理解ある着物屋さんに足を運び、じっくりと選ばせていただきました。『自分で柄を選ばせたい』という理想はあるものの、会話のやり取りが苦手な娘。思い通りにいかないことも承知の上での挑戦でした。
最初はグダグダで…試着も嫌がるかと思いきや、意外とたくさん着てくれて、準備段階からこんなに楽しめていいの?と私は女の子育児特有のワクワクを初めて体験できた記念の日にもなりました。
7歳の七五三ということで、初めて帯にも挑戦。苦しくないようにゴム紐を使うなど、配慮していただきありがたかったです。
会話できない娘ですが、ある着物を何度も着たがる動きをして、この着物が好きなのかな?と思い、そちらをお借りすることにしました。たくさんの中から、お気に入りのひとつを選べたことにも、娘の大きな成長を感じました」
最後まで笑顔で過ごせた姿を、神様に見せられただけでも合格
ーーちーちゃんの、最後の七五三を振り返っていかがですか?
「実は、前回の3歳の七五三は数え年から2年遅らせて年少さんの時に行っています。息子の3歳の七五三に合わせて、まるで双子のように娘も3歳の七五三のお祝いをしました。
そして、今回7歳最後の七五三は、数え年で年長さんに行いました。3歳の七五三を数え年でできなかった後ろめたい気持ちが晴れる日にもなりました。息子は5歳、娘は7歳で、姉弟として2人同時に七五三をお祝いできたことに胸がいっぱいになりました。
髪の毛はボロボロだし、指示通らず走り回るし、お菓子食べてばかりだし、正直、よくある7歳の凛々しい七五三と比べてしまえばひどいものだと思うんですけど…。
最後まで笑顔で過ごせた姿を神様に見せられただけでも合格だし、人一倍大変だった分、いつか振り返ったときに、「あの時、家族全員で頑張ったよね!なんだかんだ楽しかったよね!」と印象深い思い出になると信じています。
福祉環境が整っていても、お出かけに耐性がないと恩恵が受けられないと実感
ーーイベントや行事は、事前準備だけでなく当日もご両親は大変なことも多いと思います。諦めずにチャレンジしてよかったことや、家族イベントへの想いを教えてください。
「娘が3歳、息子が1歳の頃は、外に出るのが怖くて休日も家にこもりがちでした。当時、娘は手を繋げず、興味がある場所に一目散に走って行くし、息子は切り替えが苦手で床に寝転がり大暴れ。
気晴らしに連れて行ったはずのショッピングモールや人気の公園では、長居できず親子で疲れて帰宅する日々でした。同じ空間で楽しく過ごしている他の家族がまぶしくて、違う世界にいる気分でした。
療育手帳の割引や、ヘルプマークを活用できる福祉環境は整っていてもお出かけに耐性がないとまったく恩恵を受けられないと感じました。
殻にこもるのをやめて、家族全員笑顔で休日を過ごしたい想いから、周りに迷惑をかけず、無理しない外出先を探すように。最初は、天気の良い日に、人の少ない芝生でのピクニックから始めました。社会のルールを学ぶきっかけになればと、毎週同じコンビニでお買い物もしました。
娘が4歳になった頃、積み重ねた経験がきっかけになったのか、こちらの指示を理解できることが増えました。他にも苦手だったメガネを着用できたり、偏食が改善されたり…!
一生無理なのでは、と思っていたことが成し遂げられたのは、会話のできない娘にとって生まれて初めての出来事でした」
家族でいろんなことにチャレンジする現在、何よりも大切にしていることは…
「環境次第では、挑戦できることもあると信じて、現在はいろんなことにチャレンジしています。
例えば、マラソン大会に参加した時は、親子で参加する・周りを真似して走る・沿道応援のハイタッチを目印に進むことで完走できました。
キャンプは、自由時間の過ごし方に悩みましたが、3回目の挑戦でハンモックを用意すると見事にハマり、長時間楽しく過ごしてくれました。
遊園地や温泉にも連れて行ってみましたが、課題も残っています。一度挑戦することで、何が苦手なのかが明確にわかりますし、頭ごなしに『できないからやらない』と決めつけるのは、娘を理解するためにももったいない選択だと思っています。
外出先での経験は、社会のルールや人との関わりを学ぶ、大切な機会だと思います。ただ、何よりも大切にしたいのは、『できたかどうか』よりも『楽しかったかどうか』。
挑戦は、まず安心と楽しさの先にあってほしい。それが今の願いです」
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