歓楽街にとって年末年始は繁忙期。ボーナス支給がある12月10日以降はどんなジャンルの店も賑わい、盛り上がりは年明け1週付近まで続きます。
多くのお客さんに恵まれれば売り上げアップを狙えるため、お店もキャストも大満足です。しかしその反面で、迷惑客に遭遇する確率も高いのが年末年始の悩みどころ。来客の多さとトラブル増加はイコールで結ばれ、街のあちこちで「早く閑散期になってほしい」と嘆くナイトワーカーも少なくはないとか。
というのも、キャストたちが年末年始に疲れ果てる理由は、ほぼお客さんのせいといっても過言ではないほどだからです。
年末の客層が悪い!悪すぎて疲れる!
世間ではよく「年末は変な人が増えるから気を付けて」と注意喚起をしますが、歓楽街に関しても全く同じことがいえます。母数が増えれば悪い人間が混ざるのは当然で、それが年の瀬に現れやすいのでしょう。
例えば、
1.ボーナスが入り、遊び慣れていない客が押し寄せる→店のルールを守れない
2.年イチでしか遊びに来れないような客が暴走→飲み過ぎて店内で潰れる
のようなことが頻発します。
「大抵この時期に現れる迷惑客は来店1回ポッキリか、本当に年イチでしか現れないレアキャラだから“次に繋がるお客さん”とは言い難い。この手のモンスターばっかり来るから、年末は心が荒んでイライラしまくりますよ。モンスターに限ってLINEやインスタ交換したがって、“店じゃなくて普通に外でご飯しようよ”とか図々しいこと言い出すし」
このように語るのは、都会の大衆キャバクラに勤めるキャストのCさんです。心に余裕がなくなるとちょっとした粗相さえもスルーできなくなり、「たまに顔が引きつりそうになる」と本音を吐露しました。
支払いトラブルでキャストも唖然「そんな値段聞いてない」
働き手に精神ダメージを与えるお客さんは共通して夜の店に慣れていないので、暗黙のルールや常識を飲み込めず、それがトラブルの元になりやすいのです。
例えば大衆キャバクラの入り口で、お客さんのグループが支払い金額の交渉をしたとしましょう。ローカルの飲み屋は「1セット目は1人5000円」等と融通を利かせることもありますから、黒服がこの条件でグループを入店させました。キャバクラではなかなかのリーズナブルさです。
しかし、あくまでセット料金を安くしただけでキャストへのドリンクや場内指名料は通常価格です。さらに会計には消費税がかかり、1人5000円で終わることは少ないでしょう。
入店時にトラブル防止を踏まえて説明をするものの、浮かれたお客さんたちは肝心の部分を聞いていない時があります。よって支払い時に「聞いていないんだけど!」と言い出し、席で問題になるケースも珍しくはないのだとか。
元セクシー女優である筆者が、地方のキャバクラでバイトをしていた時も上記のような事件に2回ほど遭遇しました。会計トラブルに関して女の子はどうにもできません。つまり、何かが起きたら黒服VS客のバトルをただ隣で傍観するほかないので、「早くこの空間が終わってほしいな」と私は心の底から願っていました。
ただ忙しいだけでも疲れ果てるのに、客関係のトラブルが起きれば疲労が倍増。年明けからしばらく経った頃に長期休暇を取る女の子が多いのは、この時期の疲れをリフレッシュするためでもあります。
飲み慣れていないことが悪いのではなく、「郷に入っては郷に従え」ができないことが問題だといえましょう。キャストは仕事ですからある程度の覚悟はできているものの、常識を逸脱した行為で迷惑をかけるのはNGです。年末年始に気が大きくなって“やらかし”そうな皆さんは、ぜひ気を付けましょう。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。