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ザリガニに挟まれ死の淵にいた子猫→“女王様”キャラに成長 そして16年後「10日ももたないだろう」と言われたのに……

梨木 香奈 梨木 香奈

年の瀬、一年の終わりにこれまでの出会いや別れを振り返る人も少なくないでしょう。Xユーザー・みぃ~みぃ~ちゃんとジャミラズさん(@mimichan0609)にとって、キジ白猫の「みぃ~みぃ~」ちゃんとの出会いは、今も深く胸に刻まれているといいます。

2007年6月9日、みぃ~みぃ~ちゃんはまだ子猫のとき、浅い川のへりにいるところを地域の人によって保護されました。その姿は、あまりにも無惨で、いたたまれない状態だったといいます。

「発見当時、ザリガニに挟まれたまま倒れていたと聞いています。ひどく衰弱していて一刻を争う状態で、病院に連れて来られました。ちょうどそのとき、母と弟が愛犬のための薬を処方してもらうために同じ病院を訪れていたんです。そこで『今、猫を保護しているのですが、お迎えできませんか?』と声をかけてもらいました」

飼い主さんの母と弟は、子猫を見せてもらうことにー。生後推定2カ月、小さな体で必死に生きようとするその子猫こそ、後の「みぃ~みぃ~」ちゃんでした。

「ふたりとも、みぃ~みぃ~ちゃんのかわいらしさにすっかり心を奪われて、お迎えすることを決めました。段ボール箱に入ってもらって、一緒に車へ。見た目は小さく弱々しかったですが、帰りの車内ではシャーシャーと威嚇が止まらず、段ボール箱のフタをぶち破って顔をのぞかせていたそうです」

みぃ~みぃ~ちゃんは、小さくはかなげな見た目に反して、とてもパワフルな子でした。

「気性が荒くて、ワクチン接種などで病院へ行くたび、大暴れしていましたね」

こうして、みぃ~みぃ~ちゃんは新たな猫生へ、力強い一歩を踏み出したのです。

初めて迎えた猫は「女王様」だった!

実は、飼い主さん家族が猫を迎えるのは、みぃ~みぃ~ちゃんが初めて。さらに突然の出会いだったこともあいまって、当時は「一大事」だったといいます。

「みんなこぞって、段ボール箱の中をのぞいていましたね。猫と暮らしたことはありませんでしたが、病院で出会ったのが幸いだったと思います。獣医さんから排泄をサポートする方法など、子猫をお世話するために必要なことを教えてもらえたので、スムーズに対応できました。何より、みぃ~みぃ~ちゃんは好き嫌いなく、ご飯をよく食べてくれたのでホッとしたのを覚えています」

飼い主さん家族は、その愛らしさにメロメロにー。ところが、みぃ~みぃ~ちゃんはちょっと違っていたようです。

「なかなか懐いてくれなかったですね。でも、先住犬とはケンカすることなく、お互いに適度な距離を保ちながら、そばで昼寝したり、近づいたりしながら過ごしていました」

みぃ~みぃ~ちゃんは、一言でいうと女王様気質。おもちゃにはあまり興味がなく、クールな子でした。

「時間はかかりましたが、私たち家族に対しては、だんだんと頭をスリスリして甘えてくれるようになりました。ただ、初対面の人には心を許さず、一線を引いていましたね。お迎えしたころは本当に小さかったので、数カ月のあいだはとにかくよく眠っていました。そして1歳になるころには、暴れん坊ぶりを発揮。そっと撫でようとしようものなら、両前足で手をがっちりとホールドされて、身をよじりながらキックをお見舞いされました」

それでも、みぃ~みぃ~ちゃんにとってお家は何より安心できる居場所になっていきました。

「家のなかに自分だけのお気に入りスペースを作って、暮らしを楽しむようになりました。とっつきにくいところはありましたが、鍋が空焚きになったときにいち早く知らせてくれたり、家族が落ち込んでいるとなぐさめようとしてくれたりする賢く優しい一面も。あるとき、母が心臓発作を起こしたときは、よほど心配だったのか、ずっと離れようとしませんでした」

みぃ~みぃ~ちゃんの“温かさ”は、甘えるなどわかりやすい行動ではないものの、家族をそっと見守るような不器用さもありながら、繊細で純粋なものでした。

腎不全で余命宣告…逆境の中で見せた奇跡

2021年10月、飼い主さん家族に大きな悲しみが訪れました。

「父と祖母が同時期に亡くなって、家族みんな茫然自失…悲しみに暮れる日々を過ごしました。追い討ちをかけるようにその2カ月後、みぃ~みぃ~ちゃんが腎不全のため余命宣告を受けたんです。『10日ももたないだろう』と言われました。父や祖母だけでなく、みぃ~みぃ~ちゃんまで。泣き崩れました」

飼い主さんはあきらめず、ケアを続けたといいます。仕事を休んで水分補給など、あらゆる手を尽くしましたが思うように回復せずー。そんなとき、奇跡が起こりました。

「みぃ~みぃ~ちゃんの容態が回復し、年を越すことができました。春を迎え、夏を越して、2022年10月23日。私の腕の中で息を引き取りました。16歳でした。これほど頑張ってくれるとは…父と祖母を亡くし悲しむ家族を見て、『私まで旅立つわけにはいかない』と思ったかもしれません。奇しくも、父と祖母が亡くなったのと同じ10月に、虹の橋を渡りました」

悲しみのなかで出会った「ジャミラズ」

みぃ~みぃ~ちゃんを思い出すとき、飼い主さんはいつも勇気をもらうといいます。

「ふだんから人間のことをよく観察する子でした。そして、絶妙なタイミングで奇跡のような展開を起こすんです。自分の体に異変が起こっていることを気づきながらも、『このまま家族を残していけない』と決心したかのように踏ん張ってくれたみぃ~みぃ~ちゃんのことを心から尊敬しています」

悲しみに沈んだ家族のもとに、思いがけない出会いが訪れました。

「みぃ~みぃ~ちゃんを見送った翌年、4月29日のことです。納屋から子猫の鳴き声が聞こえてきたので、あわてて様子を見に行くと、そこには3匹の子猫がいました。しばらく親猫の姿を探しましたが見当たらず…保護することにしました」

3匹は、キジ白の男の子「ロッキー」くんと「チャーム」くん、黒猫の女の子「ジョン」ちゃんと名付けられました。

「みぃ~みぃ~ちゃんが引き合わせてくれたように思えてなりませんでした。これまで家の敷地内で猫を保護したことなどなかったので…ご縁があったのでしょうね」

飼い主さん家族は、この3匹を総称して「ジャミラズ」と名付け、再びにぎやかな日々が始まりました。

みぃ~みぃ~ちゃんへ届けたい思い

みぃ~みぃ~ちゃんとともに過ごした16年という月日は、飼い主さん家族にとって、かけがえのない時間でした。楽しい日も、つらい日も、いつもそばには小さな存在があったといいます。

「楽しいときもつらいときも、いつもあなたがいてくれた。猫との暮らしに慣れていない私たちのことを、ときに叱ったり、それでも困ったときには助けてくれたりしていました」

最期まで家族を思い、懸命に生き抜いたその姿は、今も飼い主さんの胸に深く刻まれています。

「体がつらいだろうに1年近く踏ん張ってくれた。あなたはずっと私たち家族の宝もの。本当に素晴らしい子でした。どんなときも一緒にいて、家族を支えてくれて本当にありがとう。あなたがいたから、苦しいときも笑うことができました。感謝してもしきれません。またきっと、会えますようにーーたくさんの愛をくれてありがとう」

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