長い間親や子どもなどの家族と離れて暮らしていると、寂しさを感じる人は多いでしょう。しかし会いたい気持ちをうまく伝えられず、どうすれば良いか悩んでしまうこともあります。X(旧Twitter)で漫画を投稿しているケンさんが投稿した『伝えてますか…気持ち』では有料老人ホームでの体験を元に漫画にし124万回以上閲覧されています。
それは、ある日の有料老人ホームでの出来事です。ケアマネージャー(以下ケアマネ)は、相談役やユニットリーダーに入居者の武田さんの元気がないと相談されます。話を聞いてみると、武田さんは勝手に帰り支度をするなど、不穏状態が続いているとのことです。
実際に様子を見るために、ケアマネは武田さんと話をしてみることにします。すると武田さんは「息子が会いにきてくれない」と寂しさを漏らすのでした。
そこでケアマネは、「写真を添えた手紙を出そう」と提案します。手紙に何を書いたらいいか分からないという武田さんに対し、ケアマネは気持ちが大事だからという理由から、昔飼っていた犬の名前で良いとアドバイスするのでした。こうして「ジロー」と書いた手紙と笑顔の武田さんが写った写真を息子さんへ送ります。
また別の日には、武田さんの好きな食べ物である「キンツバ」と手紙に書いて送るのでした。すると数日後、キンツバを手にした息子が施設を訪れ、「あれ何?」と尋ねてきます。2人は「息子さんに会いにきてもらう」と言うミッションを成功させ喜び合うのでした。
読者からは「おばちゃん策士過ぎる」「ばぁちゃんの写真のポーズが素敵」など、さまざまな声があがっています。そんな同作について、作者のケンさんに詳しく話を聞きました。
「何か楽しみを持てるように」身体的なケアの大切さ
ーこの話はご自身の体験や聞いた話などを元にされたのでしょうか?
はい、私が施設ケアマネージャーをしていた頃、実際にこういう取り組みをやってました。入居者さんは認知症の方が多く、文章を考えたり書くのが苦手です。その点、写真は言葉も必要ありませんからね。面会に繋がったり手紙が返ってくる楽しみもできるので好評でした。
ー寂しいご老人は不穏状態になりやすいのでしょうか?
寂しさは不安に繋がります。その他、環境や個人因子、家族背景など様々な影響から不穏になると思います。施設入居で食事、入浴、排泄と生活は確保されますが精神的なケアは施設によりけりですね。どこも人手不足なので寄り添ったケアはやりたくてもできないのが現状なので難しい問題です。
ー他にも入居者の要望に応えられたな!というエピソードなどがあれば教えてください。
他の施設でもやってるとは思いますが、敷地内にある花壇を花畑にしたのは良かったですね。季節ごとに、チューリップ畑にしたりコスモス畑にしたり。それを他の入居者さんと一緒にお花見できて楽しかったです。入居中は娯楽に乏しいので、何か楽しみを持てるように考えて取り組んでいました。
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