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卓球・早田ひな、そもそも「早い田」とはどういうこと? かつては「わさだ」と読んだ名字のルーツ

森岡 浩 森岡 浩

中国と世界トップの座を争う日本女子卓球界で、張本美和とともにチームを牽引している早田ひな。「早田」という名字は、漢字を見てもわかるように田んぼに因むものである。では、「早い田」とは一体なんだろうか。

「はやい」という言葉には「速い」と「早い」がある。この2つは意味に違いがあり、「速い」はスピードが速いことを、「早い」は時期が早いことを指す。田んぼにスピードは関係ないため、「はやた」は「早田」と書く。「早田」とは早くコメが実る田んぼのことだ。

ところで、「早田」と書いて今では当たり前のように「はやた」と読むが、古い時代には「早田」と書いて「わさだ」と読んだ。

米や野菜、果物などでは、早く成長するものを「わせ」、遅いものを「おくて」といい、その中間は「なかて」といった。そこから、通常より早く実る「わせ」のイネを植えている田んぼを「わせだ」といった。「わせだ」は次第に「わさだ」となり、「早田」という漢字をあてるようになった。「わせだ」は漢字では「早稲田」と書くことが多い。

「早田」という名字は、こうした「早田(わさだ)」を所有していたことに因んでいる。イネが早く実って収穫できるのは暖かい西日本である。従って、「早田」という名字も九州を中心に西日本に広がっている。早田ひなも福岡県の出身。

しかし、「早田」と書いて「わさだ」と読むのは難しい。宮崎県では今でも「早田」さんの半数が「わさだ」と読むが、それ以外の地域では漢字本来の読み方に従って変化していった。

福岡県には「早田」と書いて「そうだ」と読む地名があり、長崎県の対馬には室町時代に海賊として知られた早田(そうだ)氏がいた。今でも、長崎県と佐賀県では「そうだ」と読むことが圧倒的多数で、福岡県や鹿児島県でも「はやた」「そうだ」ともに多い。

そして九州以外では「はやた」と読むことがほとんどで、全国を合計しても「はやた」が過半数を占めている。

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