形を変えて多くの命を支える「献血」
一般的に輸血といえば、「赤い血液の入ったパック」のイメージが強い。
しかし実際は、「血液がそのまま使われることは現在ではほとんどありません」と、山吹オルカ先生。
「献血で提供された血液は採取後に成分ごとに分離され、赤血球・血小板・血漿(けっしょう)のそれぞれが必要な場面で使われます。医療ドラマなどで見られる赤いパックは『赤血球製剤』と呼ばれ、血液から赤血球を集めて作られたもので、体内で酸素を運ぶ役割を担います。
一方、出血を止めるのを助ける『血小板製』や、止血や免疫を支える『血漿製剤』もあり、手術や大出血時などに欠かせません。こうした赤血球・血小板・血漿の3種類はいずれも『輸血用血液製剤』として、患者の状態に合わせて組み合わせて使用されます」(山吹オルカ先生)
また、「医薬品の原料」としても活用されているという。
「例えば『アルブミン製剤』はショック状態などで血圧を保つために使用され、『免疫グロブリン製剤』は川崎病や免疫不全症、感染症などの治療に用いられます。献血によって提供された血液は、輸血や薬の形を通して多くの命を支えています」(山吹オルカ先生)
無理なく、出来る時に協力を
さまざまな形で「献血」が多くの命を救うことから、山吹先生の知る限りでも、積極的に「献血」を行っている医療従事者は多いそうだ。
「特に救急や外科の現場で輸血に関わる方、血液疾患の患者さんと接する方、また、産科のように出血への対応が多い分野では、その傾向が強いように感じています。
Xの投稿にも書いた通り、現在の僕は持病の内服薬のために献血が出来ませんが、僕自身も以前は半年に1度程のペースで献血をしていました。医療従事者という立場から見ても、献血は特別な使命感を持って行うものというより、日常の延長線上にある『出来る時に協力する行為』という感覚です。
どんな形であっても、医療の現場から見れば、献血してくださる方は本当にありがたい存在です。大切なのは、無理のない範囲で、自分なりのペースで続けていくことだと思います」(山吹オルカ先生)
「献血」以外にも「出来ること」とは?
「病気で献血出来なくなってからヘアードネーションを始めた」というリプライも見受けられたが、「献血とか、最近だとがん治療への寄付を呼びかけるツイートをRTしてくれるだけでも力になるんやで!」と投稿していた山吹オルカ先生。
「もちろんそういった貢献の中でも献血は特に重要です。ただし、16歳から69歳までという年齢制限や、治療中の病気や服薬、過去の治療歴などによっては制限を受け、献血が出来ないことがあります。
ポストした『健康な若者にしか出来ない』という表現は、厳密には正確ではありません。ただ、『体を壊してしまった人や高齢の方には難しい』『誰にでも出来ることではないからこそ、その行為がありがたい』という気持ちを込めた言葉でした。だからこそ、出来る方にはぜひ積極的に献血を行ってほしいと思います」(山吹オルカ先生)