今から5年前、茶トラ猫の「ツナ」くん(推定5歳・男の子)は、Xユーザー・mmmさん(@ycqolixhtBVYHfF)に保護されました。たったひとり、ゴミ捨て場でたたずんでいたところを発見したのです。
退職最終日、突然訪れた子猫との出会い
「ツナと出会ったのは2020年7月19日、コロナ禍の真っ只中。前日はゲリラ豪雨でした。その日は仕事を退職するため、最後の出勤日。玄関を出ると、すぐ見えるゴミ捨て場に、ひとりぼっちでたたずむ子猫がいました。それが、当時、生後推定2カ月だったツナです」
目が合った瞬間、ツナくんは鳴きながら近づいてきたといいます。
「私は『どうしよう』とパニック状態に。でも仕事に行かなければならないので足早に裏の駐車場へ行くと、ツナはずっと後をついてきて必死に助けを求めてきたんです。やはりほっておくことはできず、ツナを抱き上げて急いで家へ。ケージに入れ、上から布をかけておおい、あわてて仕事へ向かいました」
退職という人生の節目に、ツナくんとの新たな物語が始まったのです。
猫風邪で声も出せなかった子猫 出会いがもたらした“救い”
翌日、ツナくんを動物病院へ連れて行ったところ、重度の猫風邪と診断されました。
「検査の結果、目も耳も鼻もひどい状態でした。鼻水が詰まって鳴くこともできないはずなのに、力をふり絞って助けを求めてきたんだなと思うと、胸が締めつけられました」
しばらくのあいだケージの中で過ごし、治療を続けながら見守る日々。ツナくんはとてもおとなしく、安全な場所にいることをわかっているように見えたといいます。
「当時、我が家には先住猫が3匹いて、ツナにも興味津々で近寄っていたのですが、ツナは気にする様子もなくーー仲良く暮らせそうだなと思いました。また、ツナを保護したことは、私にとっても救いになったんです」
退職をマイナスに感じていた気持ちは、ツナくんとの出会いで前向きなものに変わりました。
「時間に余裕がもてるようになったことで、ツナの成長を見守ることができました。出会いもタイミングもすべて奇跡的で、『ツナのおかげだな』と感じました」
「出会ってくれてありがとう」 助けを求めた子猫がくれた幸せ
5年が経った今も、ツナくんは慎重で臆病な一面を持っています。
「大きな音に敏感で、すぐどこかへ隠れてしまいます。家族以外の人間を極端に怖がり、来客があると姿を消し、気配さえも消してしまうんです」
それでも、ツナくんは家族に対してはよく甘えてくるようにーーまるで小さな子どものようにコミュニケーションをとる姿は、飼い主さん家族をメロメロにしているようです。
「ふだんのツナはよく鳴く子で、名前を呼ぶと必ず『ニャ』と返事をしてくれます。甘えん坊の一面もあり、『一緒に寝ようよ』と鳴いて誘ってくることも。トイレはもちろん、どこにでも着いてきます」
ツナくんは、飼い主さんにとって日々の暮らしに笑顔をもたらしてくれる存在になりました。
「人生のなかで、助けを求めてくる猫との出会いはなかなかないですね。ツナくんには『出会ってくれてありがとう。選んでくれてありがとう』という感謝の気持ちでいっぱい。出会って5年、今もその気持ちは変わりません。ツナくんには『この家を選んでよかった』と思ってもらいたい。私にとって生きる原動力になっています」