通常のご近所のトラブルは「相手がわかっている場合」がほとんどですが、中には「ご近所なことは確実なんだけど、それがどこのお宅なのかがわからない」というケースもあるようです。
直接迷惑をかけられている訳じゃないけれど
直接的な被害を受けているわけではないものの、モヤモヤが募る――そんな経験をしたのが、関西在住のAさん(40代、派遣)です。14階建てマンションの2階で、夫と子どもと3人で暮らしています。
夫は転勤が多い会社に勤めているため、現在の住まいは賃貸専用物件。1LDKから3LDKまでさまざまな間取りがあり、転勤族の家族、小さな子どものいる若い夫婦、利便性を求めて転居してきた高齢夫婦、海外から赴任してきた外国人家族など、多様な入居者が暮らしています。深い付き合いはないものの、すれ違えば挨拶を交わす程度の適度な距離感が心地よく、Aさんにとっては快適な環境だったそうです。
ベランダの向こうにある1階のバルコニーの屋根部分に
そんなある日、Aさんはベランダから見える光景に違和感を覚えました。Aさん家族が住む2階部分のベランダの外側には、1階の庭に物が落ちないよう設置されたフェンスがあります。
洗濯物を干すたびに何気なく目にしていたその場所に、「最近ゴミが増えている?」と感じたのです。
Aさんが入居して3年の間に、1度だけ管理会社がフェンスの上に落ちているハンカチや洗濯ばさみなど、風で飛ばされて落ちてきてしまったようなゴミを回収しているのを見たことがあり「確かに落としたら拾いに行けないもんね」と納得していたそうなのですが、今までと比べて急に増えすぎているような……。
しかもよく見ると、ビールの空き缶やビニールひもに段ボール、雑巾のような汚れた布、ちぎれたサンダルなど、明らかに「ゴミ」のようなものが多く混ざっていたそうです。
「風で飛ばされたというより、わざと落としているのでは? それともベランダにゴミをためていて、あふれて落ちているのかも…」
そう考えると気になって仕方ありません。洗濯のたびに視界に入り、数日おきにゴミが増えていく状況に、Aさんは次第にイライラを募らせていきました。
管理会社に連絡してみたものの
Aさんは管理会社に状況を伝えてみたものの、「何年かに一度清掃が入ります」「注意喚起の貼り紙はしてあります」と、はっきりしない返答ばかり。
「封書のようなゴミが落ちてきたときは拾いに行こうかと思ったけれど、ケガをしても嫌だし、人に見られるのも気まずい。犯人をどうやって特定すればいいのかもわからず、毎日腹が立っています。ベランダに出ると、つい上を見上げてしまうようになりました」と話します。
確かに、相手が特定できなければ注意もできません。Aさんがママ友に相談すると、「一人が落としているとは限らないよ? 同じような人が他にもいるかもしれないし」と言われ、余計に不安が募りました。
「自費で防犯カメラを設置してみようかな」と夫に相談したところ、「直接迷惑を受けているわけでもないのに、そんなことする方が怖いよ」と止められてしまいました。言われてみればその通りですが、景観が悪くなっていくのも見過ごせません。
「次に何か重いものが落ちてきたら、警察に相談してみようと思っています」とAさん。相手がわからないご近所迷惑の解決には、まだ時間がかかりそうです。