tl_bnr_land

「蕎麦湯ってどうやって飲む?」作家の疑問に反響 「蕎麦つゆに入れる」「塩を入れる」「焼酎で割る」……人それぞれの楽しみ方があった!

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「蕎麦湯って、そのまま飲むんじゃなくて残った蕎麦つゆに入れて飲むんだけど、リプや引用でそのまま飲んで『ゆで汁だった』ってポストしてる人がいて、本当はそのまま飲むものだった!?って混乱してる。蕎麦つゆに入れて飲むんだよね?いや、そのまま飲んでも良いんだろうけど」

蕎麦湯とは、蕎麦を茹でた湯にその風味が残ったもの。ざるそばやもりそばを食べた後、蕎麦つゆに入れて飲んだりすると美味しいですね。さらに、アミノ酸やビタミンB群、ミネラル、食物繊維といった多くの栄養が含まれていることから、代謝促進や血糖値上昇の抑制、胃腸の保護・機能改善など、健康への効果も期待できます。ちなみに、筆者の知人は「二日酔いの時に飲むと効く」と言っていました。

ライトノベル作家の内河弘児さん(@Uchikawa_hiroko)は、そんな蕎麦湯に関する疑問をX(旧Twitter)に吐露。多くの方からの反響がありました。

内河さんによると、今回の投稿はもともと、別の作家さんのポストを受けてのものだったといいます。その方は、蕎麦湯を話題に出したところ、「蕎麦のゆで汁をどうするの?」と言われてしまったそう。

蕎麦湯は、蕎麦好きにとってはおなじみでしょう。実際、蕎麦屋のなかには、サービスで蕎麦湯を器に入れて提供してくれる店も多くあります。

しかしながら、蕎麦を嗜まない方には、あまり馴染みのないものなのかもしれません。実際、蕎麦よりもうどん文化が根強い大阪で街頭インタビューを行ったところ、約半数が蕎麦湯についてはっきりと分かっていなかったという調査結果もあります(産経WEST2017年の記事より)。

その人の趣味嗜好や住んでいる地域などによって、認識には大きな違いがあるようですね。

知らない…という人がいる反面、楽しみ方にこだわりをもつ人も

内河さんにとっても、蕎麦湯を知らない人の「飲んだらただのゆで汁だった」という見解は驚きだった模様。

「蕎麦つゆに入れて飲むんだよね?いや、そのまま飲んでも良いんだろうけど」

という内河さんの疑問について、Xのリプ欄にもたくさんの反響がありました。

「蕎麦つゆを蕎麦湯で薄めて飲むのが普通です!」
「あれ割って飲むやつだったのですね…知らなかった…」

という声がある一方で、独自の楽しみ方について紹介する方も多数。

「そのまま飲む派です」
「蕎麦湯にわさびや薬味を入れて飲むのも楽しみ方の一つです」
「ちょっと塩入れても旨いよ」
「そば屋飲みする時、焼酎の蕎麦湯割りが最高ですよ」
「何なら熱燗で割るのもいいですよw」
「ドラマで『蕎麦湯でお茶漬けを食べるのが美味しいのよ』というセリフがあったと思います」

蕎麦湯に馴染みがない人がいる反面、蕎麦湯の飲み方に大きなこだわりをもつ方も少なくありません。

ちなみに、筆者は蕎麦を蕎麦のゆで汁ごと椀に盛り、だしを入れて食べる“釜揚げ蕎麦”がおすすめです。蕎麦湯も一緒に食べることで蕎麦本来の旨味を一度に味わうことができ、島根県出雲市などでは比較的メジャーな食べ方だといいます。

――内河さんも蕎麦や蕎麦湯はお好きなのですか?

内河さん:実は、蕎麦とうどんならうどん派なんですが、麺類は何でも好きです。お蕎麦は、まずはそのまま食べて、次にわさびをのせて食べて、七味を振って食べて、そしてつゆにつけて食べてと…いろいろ味変しながら食べるのが好きです。蕎麦湯も、蕎麦を食べた後のそば猪口に入れて飲み干し、また余っていたつゆを少し移して蕎麦湯を足して…という感じでたっぷり楽しむのが好きです。

――ご自身も蕎麦の楽しみ方にこだわりがあるのですね。「蕎麦湯自体やその飲み方を知らない人がいる」という件について、どのような感想を抱かれましたか?

内河さん:蕎麦湯を知らない方の存在については、そういうこともあるだろうとなと素直に受け止めました。でも、「ただのゆで汁だった」という感想については、「楽しみ方を知らないのに『ただのゆで汁』などと言うのは風評被害なのでは」と戸惑いました。

――知らないからといって、ネガティブな見解を示すのは良くないですね。ですが、一方で悪い意味ではなく、実際に「そのまま飲む」のを楽しむ方もいました。

内河さん:知見が広がりました。まだまだ固定概念を捨て切れていないと反省しきりです。

――「焼酎で割る」など、別の楽しみ方を紹介される方もいましたね。

内河さん:私はお蕎麦をつまみにする場合、日本酒を選択していたのですが、言われてみれば焼酎も合いそうですよね。今度やってみたいと思います。「2リットルペットボトルに入れて冷やしてゴクゴク飲む」というのも面白いと思いましたが、なかなか真似できそうにないなと思いました。

使う言葉や有名なアニメの台詞…常識と思っていることはそれぞれ違う

蕎麦湯の存在を知らなかったという方がいる一方で、蕎麦湯を飲まれる方のなかにも単に「蕎麦つゆで割る」だけではなく、各々のこだわりや楽しみ方があることが分かりました。

今回のお話から、自分が常識だと思っていることであっても、人によって認識が違っている可能性がある――ということがうかがえます。

特に、自身の作品を世間に広く発信する立場である商業作家にとっては、この点はより重要な課題になるのではないでしょうか。

そこで内河さんに、他にも同様のご経験がないか聞いてみました。

「ファンタジー小説を書いているので、作中にはあまり現代的な文化が出てこないのですが――」

と、内河さんは前置きしたうえで、自身の体験談を話してくださいました。

「『そろっと』(『そろそろ』という意味)や『おっかかる』(『寄りかかる』という意味)など、執筆中に使った言葉が他の人には通じず、はじめてそれが方言だと知ったこともありました」(内河さん)

標準語だと思って使っていた言葉が、実は一部の地域でしか使われない方言だったという経験は、作家の方のみならず、地方出身者ならありがちな話かもしれませんね。

さらに、こんな面白い経験も。

内河さんは以前、自身の作品のなかで、「一人でいる事と腹が減っていることはいけない事だ」と書いたことがありました。

実はこの台詞には元ネタが。細田守監督によるアニメ映画『サマーウォーズ』に登場する「一番いけないのは、おなかが空いていることと、一人でいることだから」という台詞のオマージュだったのです。

ところが後日、ある読者からこんな感想が来たといいます。

「じゃりン子チエのおばあちゃんのセリフですね」

『じゃりン子チエ』は、はるき悦巳氏による大阪の下町を舞台にした漫画作品およびそれを原作としたアニメ作品。

「いややったら食べなはれ。ひもじい、寒い、もう死にたい。不幸はこの順番で来ますのや」

実際に作中では、主人公チエに対し、おばあさんがこのように諭す場面がありました。

「『じゃりン子チエ』は昔アニメで見ていましたが、このセリフがあったことは私は覚えていませんでした。逆に感想をくださった方は『サマーウォーズ』の方をご存じなかったようでした」(内河さん)

興味や知識が違うことによって、互いに違う作品を当たり前のように思い浮かべてしまう、というのも面白い現象ですね。

  ◇  ◇

「自分は新潟の出身なのですが、上京してから知ったことや、別の地方出身の同僚から教わった風習なども多かったです」

と語る内河さん。

自分がまだまだ知らなかったり、偏った認識をしていることは、誰しもにあるのでしょう。

大事なのは、そのような状況に直面した際に、「関心がない」と否定的な見解を示したり、逆にそのくらい常識だと相手を馬鹿にしたりするのではなく、互いが互いを受け入れる――という姿勢なのかもしれませんね。

“蕎麦湯”というトピックを通じて、大事なことについて考える機会を与えてくれた内河さん。ライトノベル『悪役令嬢の兄に転生しました』全9巻がTOブックスより好評発売中です。また、秋田書店・ヤンチャンWebにてよりコミカライズ版が連載、単行本も7巻まで発売中とのことです(2025年10月現在)。

■内河弘児さんのX(旧Twitter)はこちら
 →https://x.com/Uchikawa_hiroko

■内河弘児さんの小説『悪役令嬢の兄に転生しました』はこちら
 →https://tobooks.jp/contents/11502

■コミカライズ版『悪役令嬢の兄に転生しました』はこちら(連載中)
 →https://youngchampion.jp/series/f8d08c177afc3

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース