AYA(アヤ)世代(15~39歳)のがん患者の交流会が会場(東京、大阪、福岡)とオンラインで開かれた。患者と医療者、支援者らでつくるAYAweek2025実行委員会の主催。「自分らしさ」をテーマに、がんと向き合うことへの悩みをそれぞれが明かし、自分らしい生き方への思いを語った。
入学後に急性リンパ性白血病を発症した大学生の20代男性は、気持ちの整理が追いつかずに治療と向き合えなかったことや、同級生に置いていかれる思いに駆られたことを振り返った。「(同級生と)同じことをしなくても」との母の言葉を受け止め、「今できること、やりたいことを少しずつ、焦らずに進めていこう」と考えるようになったという。「自分のことを責めてはいけない。やりたいことは変わらない。自分の未来を開いてほしい」と話した。
乳がん治療を続けている30代女性は「これからどうなっていくのか」という不安と焦りで感情のコントロールができなくなったが、一日を丁寧に暮らすことを心がけ、「(朝起きることができて)よっしゃー」「晴れていてラッキー」「ごはんおいしい」「だんな、腹立つわ」と、日々の場面で生きている実感を得るようになったという。若年のがん患者は、つらさや悩みを共有する機会が限られている。「AYAがんと向き合っている人が、つながってほしい」と話した。
30代の男性は、仕事が面白くなり、ローンを組んで家を建てたタイミングで発症し、「早過ぎないか」とショックを受けたという。妻や父からサポートを受け、仕事以外の友人に悩みを打ち明けることで気持ちが楽になったと感謝の言葉を述べた。一方で、幼少期に白血病になった20代女性は、治療方針や社会参加を巡って家族との関係がうまくいかなくなる場面もあるといい、自分らしさを示す難しさを明かした。
AYA患者を担当した男性看護師は「一人の人間として成長した姿を見るとうれしい。患者のつらさは想像はできないが、どんなときもそばに寄り添い、支えられる存在になりたい。どんなときも、夜中でも、声をかけてほしい」と話した。