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名作ゲーム「パラッパラッパー」シナリオ作者が感じた「はじめての老い」 ユーモア交えたエッセー出版

京都新聞社 京都新聞社

 リズムアクションゲーム「パラッパラッパー」のシナリオを手がけたことで知られる、編集者で京都精華大教授の伊藤ガビンさん(62)が、加齢による自身の変化をつづったエッセー集「はじめての老い」を出版した。若い頃からの習慣への固執や身体能力の低下など日常で実感した老いのエピソードを、ユーモアを交えて表現した。

 大学を定年退職した後の生活を考える中、編集者の妻から「以前のように文章を書いてみては」との提案があった。2022年から投稿プラットフォーム「note(ノート)」で老いの初心者として連載を始めた。

 車の運転で「慣れているから」とバックモニターを使わずに体をひねって目視で後方確認し脱輪したエピソードでは、経験や慣れの優先が「新しい技術に対応できないことにつながるのでは」と推測。予期せぬ「不意打ち」として、ビンのふたを開けるのに手間取ったことを紹介。握力の低下に老いを感じるとともに、それを家族に悟られたくないという気持ちの芽生えにショックを受けたことを打ち明けている。

 伊藤さんは本書の読者の反応から、老いについて男女間での情報量に差があると感じたという。その原因を、「女性は身の回りの悩みを打ち明けられる知人が多いが、男性は肩書や社会的地位などに縛られ、素の人間として話す機会が少ないのでは」と推し量る。老後の変化に備えるためにも「(自分も含め)世のおじさんにはおしゃべりが足りていない」と訴える。

 「思春期のように老いも驚きに満ちている」と話す伊藤さんは、今後も老いをテーマに執筆を続ける予定。DJやゲームクリエーターなど老後キャリアの手本が少ない職種に注目したり、老いへのあらがいをリポートしてみたりと次作へ意欲を燃やしている。

 Pヴァイン。四六判、200ページ。1980円

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