「幼い頃、大好きだったゲームを大人になってから完全再現してみた」
XユーザーのT a Tさん(@TaT12364250)が投稿した動画が話題になっています。そこに映っているのは、段ボールなどで作られた「クレーンゲーム」。景品を取ることを目的としたプライズゲームのひとつです。コインを入れて、レバーやボタンでクレーンを操作し、ぬいぐるみやお菓子などの景品を狙う仕組みで、一度は遊んだことがあるという人も多いのではないでしょうか。
投稿主さんは、この「クレーンゲーム」を忠実に再現。動画では、実際にゲームを動かしてみた様子が収められています。中央にはクレーンが設置され、「すくう」「おとす」と書かれたボタンも備えられています。「すくう」ボタンを押すと、クレーンが下がります。
ぐるぐる回る景品をクレーンがすくい上げるとーー
「おとす」ボタンを押すと、クレーンが傾いて景品を落とします。
とはいえ、そう簡単にはいきません。1回目は空振り。2回目で飴を1個すくい上段に落としましたが、景品が押し出されるには至らず。3回目も失敗。4回目でようやく複数の飴をすくうことに成功し、上段から下段へ。
取り出し口へと景品が押し出され、ついに獲得に成功しました。
なかなか景品が取れず、もどかしさを感じるところまで再現されており、細部へのこだわりが光ります。この動画が公開されると、21万件超の“いいね”が殺到。これまでにも数々のゲームを制作してきた投稿主さんに、「クレーンゲーム」制作の裏側や、ものづくりへの思いを伺いました。
制作の裏側と少年時代の原点
ーーこのクレーンゲームを作ろうと思ったきっかけを教えてください。幼い頃からこのゲームが好きだったそうですが、どんなところに魅かれていたのでしょう。
「小学生のいとこが私のSNSを見つけ、今回の制作物を作ってほしいとお願いされたことがきっかけです。初めて遊んだ際には、ぷっちょのタワーを崩しながら遊べるゲーム性と、自分の腕次第で大量のお菓子がもらえる点に大きく魅かれました」
ーー材料や仕組みについて、差し支えない範囲でぜひ教えてください。
「本体の9割以上はダンボールで作られています。アームを支える部分にはMDF板を、すくう白い部分には厚紙を使用しました。特に工夫した点は、アームが落下する際に90度右に倒れる構造です。本来であればアーム全体が一緒に回転してしまうはずですが、実機ではアームは回転しません。この動きを実現するのに苦労しました」
ーー実際に動かして景品をすくえたときは、どんな気持ちになりましたか。
「非常に嬉しかったです。今年で23歳になりますが、子どものように飛び跳ねて喜んでしまいました」
ーー普段から自作でゲームを作られているそうですね。ものづくりを始めたきっかけや、これまでに手がけた中で特に印象に残っている作品があれば教えてください。
「10歳の頃からメダルゲームを制作しており、ある投稿がバズったことをきっかけに、『このチャンスを逃してはいけない』と本格的に取り組むようになりました。これまでの作品の中では『ジェラードンの刈り抜けチャレンジを作ってみた』が自他共に認める傑作で、特に印象に残っています」
ーー投稿は大きな反響を呼びました。印象に残っているリプライはありますか。
「『自宅に実機があります』というリプライを見て、思わずツッコミを入れてしまいました」
ーーこれから挑戦してみたいことや、作ってみたいゲームがあればぜひ教えてください。
「今後は、さらに大規模な工作にも挑戦していきたいと考えています。みなさんにわくわくしてもらえるような作品を、引き続き制作していきたいです」
リプ欄には「ゲーセンで見かけるあれ!」「永遠に見てられる」「とても懐かしいです」「全然取れないあたりも再現度すごいですね」「頭で考えたものを作れる才能って凄いな」「100円入れなくてもエンドレスできる夢のゲームマシン。これ作っちゃうなんて天才」といった声が多数寄せられました。
また、「親『勉強しなさい』、子『何で?』、親『大人になった時に子どもの頃の夢を実現できるから』」というリプライに対し、投稿主さんは次のように返信しています。
「俺、親に『勉強しなさい』って一度も言われたことないんだよな。今思えば、『人に迷惑をかけるな』ってこと以外、ほとんど何も制限された記憶がない。だから好き放題工作ばっかやって、今の自分がある。たまに喧嘩するけど、本当に今の両親のもとに生まれることができて良かった思う」
段ボールや厚紙といった身近な素材を使い、細部までこだわって完成させたクレーンゲーム。その背景には、投稿主さんの自由な発想と、ものづくりを楽しむ心が詰まっていました。次に生まれるのは、どんな“遊びの世界”なのか――その手から生まれる“夢のゲーム”が、たくさんの人に笑顔を届けてくれることでしょう。
◇◇
T a Tさん(@TaT12364250)さんのXでは、『ジェラードンの刈り抜けチャレンジを作ってみた』をはじめ、さまざまな自作ゲームを公開中。https://x.com/TaT12364250