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夜の歓楽街を抜け出せないミドル世代ナイトワーカー こつこつ貯金、セカンドキャリアに向けて頑張れる人は少数派 ママ候補でも先が見えない不安

たかなし 亜妖 たかなし 亜妖

30代後半から50代前半くらいの年齢を「ミドル世代」と呼びます。若い頃にはなかった楽しみや苦労を味わう年代ともいえて、特に30代は“人生で考えるべき問題・課題”が増える時期でしょう。女性なら結婚や出産、男女共通して転職のラストチャンスが近づく現実、両親のことなどミドル世代が頭を悩ませる理由はいっぱいです。

キャバクラや大人のお店などの水商売は平均寿命が短いお仕事ですから、35歳を超えると働くハードルが一気に上がるもの。ミドルエイジなナイトワーカーは世間の人々と同じく、ある程度の年齢に差し掛かると大きな不安を覚えてしまうと聞きます。

「30代以降のキャストは脂が乗ってイイ感じになる」なんてのは、あくまで表面的な部分だけ。実際のところは稼げる人口が減り、仮に収入が落ちずとも“続けられるのは一部の人間のみ”というのが歓楽街のリアルなのです。そんなミドル世代のナイトワーカーたちに話を聞きました。

慣れ切った生活を手放す勇気がない、でも収入は……

まず話を聞いたのは、現役キャストのRさん(仮名・36歳)。大学時代から夜の扉を叩き、気づくとナイトワーカー歴が15年経っていました。現在は風俗店に勤務中、夜職専業のベテランです。(『』内、Rさん談)

『就職後は昼職一本で働いていたんですよ。でも給料が安くて悠々自適な生活を送れないから、夜のバイトを始めました。当時はまだ稼げる時代だったので、OL3年目で退職して夜に専念。数千万円貯めてさっさと辞めるつもりが、ダラダラ続いてしまって……』

最初は気合十分で働いても後が続かないという、“夜職あるある”のパターンにハマッてしまったRさん。30代へ突入すると週数回程度の出勤に減り、昼夜逆転の毎日を送るようになりました。

現在の月収は月30万~ほど。世間一般だと低所得には該当しないものの、ナイトワーカーにしてはあまり良い数字といえないでしょう。しかし昼夜逆転で週3日出勤の生活を何年も続けると、大きな変化を恐れてしまうのです。

『今はいいけど、数年後はもっと収入が下がりそうでビビってます。コロナ禍で危機を感じて転職しようと試みたけど、結局夜の方が何とかなってしまって、考えを先延ばしに……。でも転職活動もダルいし、今さら何の仕事ができるのかな?って思うしで、一向に答えが出ません』

お金をきちんと貯め、セカンドキャリアの道を作りながら夜職を頑張れるキャストは残念ながら少数派。収入も上がらず環境を変える勇気も出ず、「モヤモヤした状態がずっと続いています」と彼女は苦い顔でそう答えるのでした。

「ママ候補」でも付きまとう不安

一方、Rさんと同じミドル世代でも、月に約60万円以上稼ぐYさん(仮名・42歳)はミニクラブのホステス。彼女のスゴさは、昼職と兼業しながら週4~5日夜働くこと。定時に上がったらお店に直行し、0時に退勤する日々を送っているそうです。

彼女は今、ママ候補の誘いを受けている最中。現・ママが引退を考え始めたため、お店の売り上げに貢献し続けるYさんに声が掛かりました。けれども現在の生活が厳しくなってきたせいで、誘いに対してあまり前向きな気持ちになれないとか。(『』内、Yさん談)

『ここが夜職初めてのお店で、週5日Wワークする毎日を続けてもう7年になるんです。自分でも42歳にしては体力がある方だなとは思いますが、最近は体がキツくて……。このまま掛け持ちを続けるのは難しいけど、かといってお客さんがいるうちはやめたら勿体ないなぁとか、色々考えてしまうんですよ。もしママになったら更なる収入アップを目指せますけど、昼の仕事は退職しなければならないですしね』

彼女の職場は、古くからの常連に親しまれるお店。規模が小さく、アットホームさを気に入った男性が足繁く通うもののお客さんの高齢化が否めません。若い世代の“新規参入”がなく、「ママを引き継いでも先が見えない」と言います。

『夜職は嫌いじゃないし、正直なところお金に余裕はあります。でも、水商売の不安定さを考えると現職を手放すのがとても悩ましい。クラブって新しいお客さんがバンバン来る場所ではないので、年々客足も減りつつありますから、お店の存続もどうなんだろうか?と……。

それに私、この年齢でも結婚願望が捨てられないんですよ。だから普通のOLに戻って婚活したいという希望を持つからこそ、悩みが余計に深くなるのかもしれません』

稼げない・働く場所がないなら潔く引退できるものの、メリットを少しでも見出すと、なかなかやめられないのが夜職の難しい部分です。話を聞いた2名の女性は、生きる上で欠かせない「収入」がそれなりに高いため、職を手放せないのも無理はないでしょう。

例えお金に困っていなくとも、ミドル世代のナイトワーカーは稼ぎ以外の問題が浮上しがち。どこかで覚悟を決めなければ悩ましい状態が延々と続いてしまうとなると、方向転換の仕方は間違えないようにしたいものですね。

◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。

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