学校生活の中で、「自分は人より劣っている」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。勉強や運動などで目立った成果が出せないと、つい自信を失ってしまいがちです。SNSで自身の体験をもとに漫画を投稿している春乃おはなさんは、そんな中学時代の葛藤を描いた『不登校だった中学時代』をX(旧Twitter)に公開しています。
春乃さんは、かつては男子に混じって元気に遊んでいたタイプの女の子でした。しかし中学生になると、環境が大きく変わり「私は可愛くないし、愛想もない」「コミュ力もないし、テストの点も誰より悪い」と自分への否定的な感情が強まり、特に男子に対する苦手意識が大きくなっていきます。
また、家庭の中でも父親はほとんど家におらず、兄とも会話がなかったため、男性との距離感がつかめずに悩んでいたといいます。そうした不安と孤独は徐々に春乃さんを追い詰め、やがて学校に行くことがつらくなり、仮病を使って休むことが増えていきました。
それでも美術の授業がある日だけは学校へ通い、先生が自分の絵を褒めてくれることに喜びを感じます。そんなある日、担任から美術の先生から絵が上手いと聞いたと声をかけられ、生徒会長選挙のポスターを描くことに。
突然の依頼に驚きつつも「期待してるぞ」という言葉がうれしく、頑張って描いたポスターは好評でした。そこから学校生活が少しずつ変わりはじめます。次はクラス掲示物のイラスト制作も任され、意表をつく掲示を作るのでした。
苦手意識のあった男子生徒から話しかけられた際には、これまでのように言葉が詰まることなく、自然と笑顔を返すことができたのでした。この実体験をもとに描いた同作について、作者の春乃おはなさんに話を聞きました。
自分を傷つけずに「好きなもの」を見つける
ーいつ頃から「自分不出来」と感じるように?
中学1年生、14歳の頃です。学校やクラスになじめなくて、強い孤独感を抱いていました。周囲ができていることが自分にはできない。そんなふうに感じはじめたのがきっかけです。
ー絵を描くことは以前から興味が?
絵を描くのは小学生のときから好きで、よくクラスメイトの似顔絵を描いたり、アニメのキャラクターを描いて喜ばせていました。
ー生徒会のポスター依頼や掲示物作りなど、きっかけとなる「頼られる経験」が大きな転機になっていましたが、「期待されること」はプレッシャーにならなかったのでしょうか?
もともと創作することが好きだったので、それほどプレッシャーを感じませんでした。それらをやらなくても学校に行かない鬱々しい日々が続くだけだったので、何か自分の環境が変わるきっかけがほしかったのかもしれません。やった方がお得だと思いました。
ー苦手だったはずの男子と話せた理由はなんだったのでしょうか?
自分が制作した掲示物に校長先生がいぶかしげな反応をしたとちゃかした内容で男子から話しかけられ、すごくうれしかったことを覚えています。クラスメイトに突然話しかけられると、どもったり黙ったりうまく返答できないのが悩みのひとつでしたが、この時ばかりはうまく答えられた気がします。
ー同じように「学校がつらい」「自分の居場所がない」と感じている人に伝えたいことがあれば教えてください。
今は昔より、自宅学習や保健室登校、フリースクールなど、選択肢が増えてきています。学校に居場所がなければ、どうかそれ以外の場所を探してみてほしいなと思います。そして、自分をいじめる言葉を自分自身に投げかけないでほしいです。「ただの悲しい思い出」にしないで、自分の「好きなもの」をひとつでも多く見つける期間に変換してほしいなと願います。
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