外を歩いていると、猫やカラス、スズメといった動物たちを見かけることもあるでしょう。漫画家・ネルノダイスキさんの『くちこみ』は、主人公がひょんなことから“ツバメの口コミ”を発見する様子を描いた一作です。以前X(旧Twitter)にポストされると、4000を超える「いいね」が寄せられています。
ツバメのツバメによる巣作りをサポートする不動産が!?
去年、玄関にツバメの巣が作られ、たくさんの写真を撮っていた主人公。ある日、偶然ツバメを見た主人公は、そのまま目で追っていると、ビル上部に設置された巣箱に入っていく様子を確認します。そして、巣箱には「スワロー不動産」という看板がついていました。
その後、ネットでスワロー不動産と検索すると、同名のサイトを発見。そこにはツバメの巣作りと子育てに適した物件がエリア別に掲載されており、主人公はツバメたちもネットで棲む家を探す時代になっていることを知ります。
また、物件のひとつひとつにツバメたちからの口コミも。そこで、以前玄関に巣が作られた経験のある主人公は自身の家のレビューを見てみたところ、最低評価の星ひとつで「カメラで撮影してくるのが嫌すぎ」「深夜まで起きてて物音で寝不足になりました」といったコメントが寄せられていました。
愛情を持って接してきたつもりだった主人公は態度を改めようと決心。その後に新しくツバメの巣が玄関に作られると、夜更かしをやめたり、写真を撮らないようにしたりなどツバメたちに注意を払います。さらに巣が落ちないよう、巣の下に板を取りつけるのでした。
そんなある日、ヒナたちが巣立ったことに気づく主人公。のちにレビューを見てみると、星5つで「良い物件でした」「巣の下に板をとりつけてくれたのもポイント高し!」とのコメントが。「よかった~」と涙を流して喜んでいるのも束の間、偶然にも「コックローチ不動産」のサイトを見つけてしまいます。
恐る恐る自宅のレビューをチェックすると、ほとんどが星ひとつで「食べ物が全く落ちてなくてどうしようもない!」「星ゼロでいい物件」と低評価。主人公は「うわああああ~~~よかった~~」と心から安堵するのでした。
読者からは「動物たちの不動産って発想が可愛くて面白い」「レビューがあるあるの文言で笑った」などの反響が。そこで作者のネルノダイスキさんに、同作を描いたきっかけについて話を聞きました。
「何かに詰まったら、とりあえず散歩」
―同作を描いたきっかけは。
漫画家のトキワセイイチさんの主催する漫画の合同同人誌「どうぶつとひと」への執筆の声をかけていただき、その同人誌のテーマが「動物と人」でした。そこで描かせていただいたお話になります。もともと春につばめの巣を見るのが好きで、そんな彼らが巣を作るロケーションを不動産屋で探していたら…と妄想したのがきっかけでした。
―同作の中で、特にお気に入りの場面を。
ビルにちょこんとくっついている巣箱の形をした不動産の絵がお気に入りです。不動産の看板のデザインが個人的に気に入っています。
―物語の創作はどのように着想を得ているのでしょうか?
着想はなんとなくの思いつきがきっかけなのですが、なんとなくの思いつきを一番思いつく瞬間は散歩をしている時です。なので、何か煮詰まったら、とりあえず散歩に行くようにしています。散歩には必ずメモ帳を持っていきます。
―読者にメッセージをお願いします。
最近はあまり漫画を描けていませんが、現在新作を描いていますので、楽しみにお待ちしていただければと思います。
<ネルノダイスキさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/nerunodaisuki
▽note
https://note.com/nerunodaisuki
▽著書『大人も知らないみのまわりの謎大全』(Amazon)
https://amzn.asia/d/43wKcoj