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岡山県内の書店「うれしい誤算」 初J1で奮闘中のファジアーノ、特集した専門誌も爆売れ中

山陽新聞社 山陽新聞社

 サッカーJ1ファジアーノ岡山を1冊まるごと特集した専門誌「サッカーダイジェスト」の7月号(日本スポーツ企画出版社・800円)が、岡山県内の書店で異例の売り上げを記録している。各書店は、予約動向などから、あらかじめ売り切れを〝警戒〟して、通常の10倍、20倍…と店頭に並べたが、わずか2日間で品切れて急いで追加発注する店や数百冊が完売しそうな店もあるなど、書店担当者の予想をはるかに上回る「うれしい誤算」となっている。

 「今の岡山に、こんなにも売り上げを伸ばせるコンテンツは他にない」と話すのは、イオンモール岡山内にある未来屋書店岡山店(岡山市北区下石井)の中當(なかあたり)大貴店長。6月12日、特設コーナーにいつもの数十倍となる150冊を積み上げるも3日後、店の公式X(旧ツイッター)で「すでに100冊に近く売れています......!!!!!」と驚きを表した。21日には「150冊全て完売いたしました・・・・!!!!サポーターの皆さんの熱を感じます!追加注文しておりますので、今しばらくお待ちください!!!」と完売を報告。急いで取り寄せた追加分の105冊を、25日にようやく入荷した。

 異例中の異例

 啓文社岡山本店(岡山市北区下中野)は、ファジアーノが昨年12月にJ1昇格を決めた際、他の専門誌が企画した記念冊子の売り上げなどから今回の盛り上がりをある程度予測していたが、サッカーダイジェストが公式Xで「岡山特集」を公表すると、店に問い合わせや予約が急増。三島政幸店長は「これはやばいことになる」と感じたという。いつもの月の10倍超の冊数を確保し、店のXで「当店もたくさん入ります。お楽しみに!」と10日に事前告知すると、ポストの表示が2・2万回を記録し〝売れる予感〟を漂わせた。

 12日にレジ前とスポーツコーナーの2カ所に積むと、2日間でなくなった。「こんなことは異例中の異例。多めに入荷したのに、それでも見込みを間違えた」と三島店長はうれしい悲鳴を上げる。すぐに追加発注に踏み切り、14日に初回とほぼ同数量を並べることができた。販売数は6月号の約60倍が見えてきた。

 県内の他の書店でも、いつもとは桁違いの売れ行きだ。TSUTAYA玉島店(倉敷市玉島)も、問屋と相談して多く仕入れ「圧倒的な販売数になりそう」とする。「J1に上がると、こんなにもすごいことになるとは」と同店。日本代表で元ファジアーノ岡山のMF佐野航大=NECナイメヘン=の出身地・津山市でも同様で、津山ブックセンター本店(津山市河辺)では5倍ほどの数量で対応したが即日完売。「もっと多く入荷すべきだった」と悔やむ。

Jクラブの指標に

 さて、岡山で爆発的な売り上げを記録しているサッカーダイジェスト7月号。「初のJ1で大奮闘 ファジアーノ岡山徹底読本 クラブが辿(たど)った奇跡のストーリーに迫る」と大書された、気になる中身は…。表紙写真にもなっている今季加入した元日本代表MFの江坂任やスーパーセーブを連発している東京五輪ドイツ代表GKの守護神スベンド・ブローダーセンらのスペシャルインタビューをはじめ、戦術ライターによる攻守の特長を図解した専門誌ならではのコーナーを盛り込んだ。サッカーダイジェスト編集部は「岡山、アウェーサポーター関わらず手に取って新たな魅力を見つけてほしい」とする。

 ファジアーノ岡山を取り上げた理由を、同編集部は「J1に昇格してからの岡山県の盛り上がりや初陣で勝利したときの話題の大きさなど、今のJリーグにはここまで熱があるチームはなかなか見ない。これはぜひ専門誌として取り上げたかった」とする。7月号の取材を通して本田健介編集長は「ファジアーノは今後のJクラブの指標になるだろう」とみる。莫大(ばくだい)な資金力やビッグスポンサーがあるわけでもなく、皆で力を合わせて着々と一歩ずつ進んできたその姿はJクラブの一つの見本であり理想像だとする。「『これでもJ1で十分戦っていけるんだ』と、その代表となるクラブとして、これまでと同じ道を貫きぜひ今後も躍進を続けてもらいたい」。本田編集長は取材を通じて後半戦にも注目している。

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