とある観光地の静かな一角で、ひとりでじっと動かずにいる子猫を見つけたXユーザー・あきや~ま(@mayakia_k)さん。うずくまるその姿を目にした瞬間、「このままでは命の危険がある」と直感したといいます。
「すぐに対処しないと危険だと感じ、観光は切り上げて即帰路へ。行きつけの動物病院に連れて行きました」
その子がどんな背景を背負っていたのかはわかりません。けれど、飼い主さんは見過ごすことができなかった―。それが、すべての始まりでした。
「生後3カ月くらいの子猫で、男の子。“かなた”と名づけました」
生きられるか、それとも―必死の看病に光が
診察室で伝えられたのは、命の瀬戸際にあるという現実でした。
「衰弱が激しく、自分でごはんを食べる気力もなくて…先生から『食べさせないと死んでしまう』と言われるほど危険な状態でした。高栄養のごはんを出してもらい、自宅でシリンジを使って何とか食べさせました」
その夜、眠る間も惜しんで看病を続けた飼い主さん。すると、かなたくんの体には少しずつ力が戻っていきました。
「たった一日でここまで回復するとは思いませんでした。逆に言えば、食べられなかったら命を落としていたと思います」
新入りを、そっと受け入れた“きょうだい”たち
飼い主さんの家には、2匹の先住猫がいました。突然やってきたかなたくんを受け入れてくれるのか、最初は不安もあったといいます。
「幸い、先住猫は事情を察してくれたようで、一番年上の子がよく面倒を見てくれました」
かなたくんも、先住猫や飼い主さんの愛情に触れ、少しずつ心を開いていきました。
「ひとりぼっちから解放されて、安心したのかもしれません。少しずつ私たちに懐いてくれるようになりました」
成長を見守っていたら…驚きの変化も!
かなたくんは、現在6歳を迎えました。
「天真爛漫で、おおらかな甘えん坊です。優しい性格で、あとから迎えた保護猫たちがケンカをしたときには、負けてしまった子に寄り添って慰めてくれるんです」
また、飼い主さんが予想していなかった変化もあったといいます。
「かなたは長毛種の猫でした。でも、保護当初はそうとは気づかず、『ちょっと毛が長めかな?』くらいに思っていたんです。それが成長とともにどんどん毛が伸びて、2年後にはもふもふに。体もぐんぐん大きくなって…『一体どこまで大きくなるんだろう?』と驚かされました」
かなたくんと出会ったあの瞬間から、何かに導かれていたように感じる――飼い主さんは今、そう確信しています。
「出会うべくして出会ったと思います。きっと神様が『この子を救ってあげなさい』と、私に会わせてくれたんでしょう」
かなたくんは、優しい飼い主さんに見守られながら、きょうだい猫たちとともにのびのびと暮らしています。今、飼い主さんが猫たちに抱いている思いとは――
「みんな保護猫で、それぞれの事情があって我が家に来ました。縁あってつながった命ですから、かなたたちが思うまま、自由に生きてほしい。元気でいてくれることが、私への何よりのご褒美です。これからも仲良く、楽しく、元気に過ごしてほしいです」