マンガの面白さは…フキダシの配置で決まる!?“視線誘導”テクに「こんな仕組みだったのか」【漫画】

海川 まこと 海川 まこと

みなさんは漫画のなかで使われる「視線誘導」という技術をご存知でしょうか。元漫画家でマンガのストーリーを研究するごとう隼平さんがX(旧Twitter)に投稿した『視線誘導は実は「視線」じゃないよって話』(作画:おたべさくら)は、そんな視線誘導について解説した作品です。Xにポストされると、多くの人から注目を集めて12万もの「いいね」が寄せられています。

漫画制作において“フキダシの配置”は超重要

同作は、語り部の男性のみが登場し、実際にフキダシやイラストなどを使いながら視線誘導を説明。そもそも視線誘導とは、読者が読みやすいようにフキダシを配置したり、読ませたい箇所に誘導したりするテクニックのことをいいます。

具体的なテクニックを挙げると、例えばフキダシは右上から読むため、読ませたい言葉を右上から順に低くしていけば、低い方に向かって読ませることが可能です。

また、フキダシ以外にモノの絵や瞳、顏なども優先的に見てしまいがちで、そういったフキダシや絵の配置によって読者の目線を誘導し、より漫画を面白いものにするのです。

しかし、根本的な読みやすさは“絵を入れる前のフキダシの配置でほぼ決まる”とのこと。それでも読者の視線を思い通りに誘導できないこともそうです。作中のラストでは、「変に凝って読者を惑わすのではなく…読者を迷子にさせずに導く『親切さ』が何よりも大事」と締めくくられるのでした。

読者からは「深く考えて読んだことがなかったから面白かった」「漫画家じゃないけど、勉強になった」などの声が。そこで『視線誘導は実は「視線」じゃないよって話』のネームを担当したごとうさんに、同作について話を聞きました。

マンガの先生をしているからこそ毎日が勉強の連続

―同作を描いたきっかけを教えてください。

「視線誘導」という技術は、マンガを描く人の間で重要なこととしてよく出てくるものなのですが、実はずっと「視線?」と違和感があったんです。みんな好きなマンガを見るときに、一つの絵をじっくり見回すことも、ありますよね?実際、アイトラッキングという専門の機械で視線を追うと、マンガの誌面をあっちこっちに移動してます。何を誘導するのか、このことを一度しっかり考えてみたいと思って、このマンガを作りました。

―同作のなかで、特に注目してほしいポイントがあれば、理由と一緒にぜひお聞かせください。

自分を先に読んで欲しいフキダシが「見てー!見てー!」と精いっぱいアピールするところですね!みなさん先に読めるか、試してみて欲しいです。片眼鏡の主人公も、作画のおたべさくらさんがとてもかわいく描いてくれているので、ぜひ注目してください!

―ごとうさんは普段からマンガのストーリーを研究しているとのことですが、具体的にどのような方法で調べているのでしょうか?

僕はマンガの学校もやっているので、まだマンガに慣れない受講者の方ともマンガ制作を一緒に取り組んでいます。その時にマンガを読みやすく読者に届けられるように、感覚的な技術を言語化することを日々挑戦していて、そうやって自分の中でも理解が深まっていますね。

―読者にメッセージをお願いいたします。

マンガを作るのは、謎の技術の集合体に思えますが、分解していけば、一つ一つは誰でも理解できるシンプルな仕組みがあります。少しずつ解説して、多くの人にマンガを描くのって楽しそうだな、自分もやってみたいな、と思ってもらいたいです。第1話から無料で読めるようにしてますので、ぜひ他の回も読んでみてくださいね!

<ごとう隼平さん&おたべさくらさんの関連情報>
▽ネーム担当:ごとう隼平さんX(旧Twitter)
https://x.com/goto_junpei
▽作画担当:おたべさくらさんX(旧Twitter)
https://x.com/otabesakura_i
▽『マンガのマンガ』(Kindle)
https://amzn.asia/d/g6ZOsIy

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