「いつか世界の強豪国と渡り合う日が来れば」 JICA海外協力隊員が中米ホンジュラスでソフトボール教室に取り組むワケ

山陽新聞社 山陽新聞社

 国際協力機構(JICA)の海外協力隊員として中米ホンジュラスに派遣されている下浦隼一さん(32)=岡山県倉敷市出身=が、現地の女児らを集めてソフトボールの普及に励んでいる。男児に比べて盛んでないスポーツの環境を整えることで、子どもの健全育成や夢を持てる将来設計につなげてもらおう―と取り組んでいる。

 2023年7月に派遣された下浦さんは、倉敷市内の小学校でソフトボール、中学高校で野球に汗を流した経験を生かし、スポーツ、特に野球を通じた国際協力や貧困層の青少年育成などを任務とする。

 活動拠点は同国南部、ニカラグアとの国境近くにあるチョルテカ県エルトリウンフォ市。現地で日本の小中高生に当たる世代のスポーツに関しては、男児がサッカーや野球に興じる一方、女児は一般的に家事や家族の世話に追われ、競技人口が少ないという。

 ソフトボールの普及を思い立ったのは、男児向けに野球体験会を開いた際、会場に一緒に来た男児の姉の一言がきっかけだった。「何で私はできないの」。下浦さんは、世界大会が開かれるなど活発な女子球技としてソフトボールに着目し、チームをつくろうと決めた。

 男児への野球指導を続けながら、同年12月、集まった女児6人を相手にソフトボール教室をスタート。その後、地域を回ってメンバーを勧誘した結果、大人を含む約40人にまで増え、現在は2チームで活動する。

 「教室に通ううち『私も指導者になりたい』と夢を描くようになった少女もいる。どの子もここでの経験がこれからの人生の糧になるはず」と下浦さん。

 4月からは2チームに地元の男子野球チームなどを加えた計4チームでソフトボールの試合も始め、6月末には本格的な大会も計画している。

 下浦さんの任期は7月末まで。終了後は日本に帰ることが決まっているが「今後も試合や大会を続けて競技人口を増やし、いつか世界の強豪国と渡り合う日が来ればいい。それまでは国を離れても交流を続けていく」と話す。

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