仕事を辞めて「韓国」へ30歳で留学「最初はアイドルからだったけれど…」 困るのは「一人めし」、うれしいのは?

太田 真弓 太田 真弓

「韓国の大学への進学を見据え、将来的には韓国語の先生になりたいという展望がある」

仕事を辞め、30歳で2024年に渡韓した男性。日々、早めに学校へ行って、予習・復習は欠かさず。移動時間もYouTubeで耳学。図書館で8時間勉強し続けることも当たり前で、アウトプットの経験を増やすためにアルバイトを始め、韓国語に専念するという日々を送っているのはソウルに語学留学中のしゃふさん(@shafu_korea)です。

昨今では、推し活や美容などをきっかけに、韓国旅行にとどまらず、韓国語を学びはじめる人も珍しくありません。そして、しゃふさんのように韓国へと留学する日本人は、「日本からの留学研修目的入国者数」(韓国観光公社調べ)によると、2024年は14067人。コロナ禍以降は、年々右肩上がりとなっているそうです。

はたして韓国での留学生活はどうなのか? 韓国から勉強の進捗状況や、現地の情報をXで発信し続けているしゃふさんに話を聞きました。

韓国語を始めてから2年で、留学を検討するように

ソウルにある延世(ヨンセ)大学語学堂4級に2024年6月に入学。今年2月に語学堂6級を卒業し、この春からは最高級韓国語過程(7級)に進学しています。

――韓国語に興味を持ったきっかけは? 

最初は好きなアイドルがきっかけでハングルから勉強を始めました、このときは文字だけ何となく読めるくらいのレベルだったのですが、コロナのパンデミックがきっかけで外出が一切できなくなってしまったため、本格的に本を買って文法や単語の勉強を始めたという流れです。 

――どういったタイミングで留学することに?

勉強を初めてから約2年(2023年10月くらい)が経ってからです。留学前にハングル検定3級とTOPIK(韓国語能力試験)4級を取得し、資格試験を通して韓国語学習の面白さに気がついたのも留学を決めたひとつの要素です。

ただ、お恥ずかしい話なのですが仕事が精神的に毎日辛く退職をずっと考えていました。そのため仕事を辞めて時間ができたことが一番のきっかけだと思います。

違う職種への転職など将来のことを色々と考えましたが、働きながら2年ほど毎日続けてきた韓国語学習に興味があり、語学能力をもっと伸ばしたいと考え留学を決めました。

――社会人経験を経た上での新たなスタートだったのですね。どのようにして留学先をお決めに?

留学先を決めることは人生でも大きなイベントだと考え、韓国留学に関連したYouTube、ブログなどSNSの情報を過去10年分まで遡って徹底的に調べました。またソウル以外にも釜山(プサン)や大邱(テグ)、済州(チェジュ)などの語学堂も含めて10ヶ所ほどのカリキュラムや学校の環境、学費などかなりの項目を比較検証しました。

しっかり学ぶために留学先として選んだのは…

――しっかりと調べられたのですね。そしてどのようなルートで留学の実現を?

社会人を経験してからの韓国留学だったので大学からの交換留学などの選択肢はなく、大学編入も考えましたが最初から韓国で専門的な講義を聴講したり、論文などを作成するのはハードルが高いのでは?と思い一度語学留学を経験した方が自分のためになると考え、大学付属の語学堂に進むことを選びました。

また一般的には、「留学エージェントを通して入学手続きをする方法」か「個人で手続きをする方法」の2択になると思います。自分の場合は個人で手続きした立場だったので公式ホームページや先輩方のブログなどの情報を参考にしながら進めました。ただそれだけではわからないことが多々あったためメールで語学堂に直接問い合わせたりしながら手続きしました。

もちろんこの場合、基本的に全部韓国語でのやり取りになるのと、聞き慣れない書類も自力で集めなくてはならないので一概に個人で手続きをするのがいいとは言えないかもしれません。手続きの手順は合ってるのか?それとも間違ってるのか?…判断ができず、かなり不安だったのを覚えています。

周りにはエージェントを通して入学した人も多く、話を聞く限りでは不安なく手続きできたとの声も多いのでエージェントを通す方法も助けになると思います。

――なぜ延世大学の語学堂に?

決め手は大きく分けて3つありました。

一つ目は、延世大学語学堂は文法をたくさん取り扱うことで有名で、語学を勉強するうえで文法は骨格だと考えているので、文法から徹底的に語学を学ぶうえでの土台を作りたかったからです。

二つ目は韓国語での発表や会話をする機会があるということ。特に発表が多いという情報を見て魅力を感じました。実際に4級と5級では2度、6級でも2度、それに加え6級では卒業討論会まで含めると3度の発表があったのも実力向上の助けになったと思います。

三つ目は韓国語講師養成過程がある点です。将来韓国語を教える仕事がしたいと考え、このようなカリキュラムがある延世大学の語学堂を選びました。

――語学堂はどんな環境ですか?

4級、5級のときのクラスの人数は13人、6級では10人でした。延世大学の語学堂は日本人に人気があるので日本人の比率は高いです。

そして4級、5級のときはヨーロッパやアメリカ出身のクラスメイトもいたのですが、6級では中国、台湾、香港などアジア出身のクラスメイトが多いと感じました。やはり漢字を使う国の学生にとって漢字語(ex.時間:시간[sigan]、無理:무리[muri]、価値:가치[kachi])が多い韓国語の勉強は何かと共通点が多いのだと思います。7級ではアジア、北米、ヨーロッパなど様々な国と地域の学生たちと共に学んでいます。

――生活環境はいかがですか?

学習環境、遊ぶ場所的な意味での環境どちらとも良いと思います。学部生と同様に語学堂生も綺麗で広々とした図書館を使えますし、実際に使ってみると学部生が熱心に勉強しているので自然と勉強に対するモチベーションも上がります。

観光地で有名な弘大(ホンデ)は地下鉄の隣の駅(徒歩圏内)、明洞(ミョンドン)は地下鉄で10分ほどで行けるため、友達との食事や買い物なども楽しめるような環境です。

本当に何もできなかったけれども、約1年で…

――この1年で感じたご自身の変化や韓国語への手ごたえは? 

韓国に来た当初は本当に何もできなくて、必要書類をプリンターで印刷するにも数日を費やしたのを覚えています。こういうことがある度に毎日不安やストレスを感じながら生活していましたが、今では自力で引越しの手続きをしたり、銀行や住民センターでの手続き、病院で自分の症状をお医者さんに細かく伝えるなど少し踏み込んだこともできるようになりました。

また、初めは簡単な挨拶をすることすらなかなか口にできなかったのですが、今では自分の意見や質問なども積極的に口にできるようなレベルまで向上しました。アルバイトもしています。

もちろん文法や単語を元にした話す能力(知識面)が向上したことも大きいですが、外国語を話すハードルが低くなり、積極性(精神面)が向上したことが何よりも大きいと思います。

――生活する上で良い点や困っている点などは?

韓国は何より食事を大切にする国だという印象があります。友達と会うと真っ先にご飯食べたかどうか聞かれたり、メッセージする際も必ずといっていいほど聞かれます。そのためか安価でおいしいご飯が食べられることが良い点です。

ただ友達や職場の同僚同士など、複数人で楽しくご飯を食べる文化が深く根付いてる印象があり、サムギョプサルやタッカルビなどは基本的に2人前から注文が可能だったり、大皿料理での提供を行っているお店が多いことが少し不便だと思いました。最近はひとり飯の需要も増えてきており、一人前で提供してるお店も徐々に増えてきているようです。

そして何より驚いたのが地下鉄やバスなどの公共交通機関が安いことです。基本的に地下鉄やバスで移動する際は片道1600ウォン(約160円)や1800ウォン(約180円)といった2000ウォン(200円)以下で収まる場合が多いためこういった環境は住みやすくて良いと思います。

――夢や実現したいことは?

将来、日本人を対象にした韓国語の先生になりたいと考えています。韓国語学習を通してたくさんの経験や人との縁に恵まれたため、自分の経験を通して他の方にも還元できたらいいなと思っていて。最初はオンライン授業を通して韓国語を教えたいと思っているのですが、ゆくゆくは自分の教室を持ちたいという願望もあります。また韓国語学習に関連した書籍を出版するのも夢です。

――まだしばらく韓国での留学生活を?

5月末に一旦日本に帰国し、韓国での大学進学に向けて準備をしてから、再度渡韓して勉強するつもりです。たくさん経験を積み、知見を広げたいと思っています。

――将来韓国への留学や語学研修を考えている方、これから韓国語を学ぶ方へメッセージをお願いします。

私は韓国留学を通して勉強面でも生活面でも色々な経験をさせていただきました。もちろん楽しいこともありますが、それと同じくらい辛くストレスを感じることもありました。しかし、このような楽しくも辛くもある色々な経験を通して一つずつ壁を突破してきたことにより自分自身も成長できたという確信があります。

また韓国留学を通して経験してきたことは、今後の人生で存分に活かされ、いつか話のネタになったり、多種多様な場面で自分を助けてくれると考えています。

現在、韓国留学を検討している方、留学中の方にとっても現地での生活はきっと近い将来自分の助けになってくれるかけがえのない最高の思い出になると思います。

そしておかげさまでSNSの投稿をいつも見てくださる方も多く、その投稿により勉強のモチベーションが上がったなどというお声もたくさんいただきます。韓国語学習に関わるひとりとしてこれからも皆さまと楽しく韓国語の勉強をしていけたらいいなと考えています。

◇ ◇

韓国への留学エージェント業を展開している株式会社 K Village(東京都新宿区)によると、韓国留学の方法は、①在席している日本の学校からの交換留学や現地の大学入学 ②民間や行政の留学制度 ③個人申込の3つだそう。しゃふさんは、自身でリサーチが必要でハードルが高いと思われる③を選ばれています。

また、しゃふさんが通っている延世大学の語学堂は一般的にレベルが高いと言われており、具体的には、授業の内容で他の語学堂の6級レベル=延世の4級、他の語学堂6級卒業者が延世の6級のテキストを購入して勉強するほどなのだそう。しゃふさんは現地でアルバイトをしながら毎日欠かさず勉強を続け、語学力の研鑽に励む様子をXに投稿しています。

「通っている学生も『将来は韓国の大学や大学院に進学したい』『通訳・翻訳など韓国語に関連した仕事がしたい』など目的意識を持ってる人が多いため、良い刺激になり切磋琢磨できるような環境です」としゃふさん。

お話を聞いて、留学を通して語学を習得するだけでなく、自分の力で人生を切り拓き、様々な経験を糧にしながら前向きに努力を重ねてらっしゃる様子が伝わってきて感動しました。 

■しゃふさんX https://x.com/shafu_korea

■韓国観光公社 https://japanese.visitkorea.or.kr/svc/main/index.do

【株式会社 K Village関連情報】
日本最大級の韓国語教室を中心に、韓国美容事業、韓国メディア事業、ボイストレーニング、ダンス、韓国留学支援事業など、韓国を軸とした多角的な事業を展開。
■K Village韓国留学 公式ホームページ https://kankokuryugakuguide.com/
■K Village韓国留学 公式Instagram http://tiny.cc/kvillage_ryugaku
■韓国好きのための情報メディア「K Village MODULY」 https://moduly.kvillage.jp/

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