阪急は神戸線・宝塚線のダイヤ改正を12月5日に発表しました。実施日は2025年2月22日です。今回のダイヤ改正では、両路線とも平日朝夕のラッシュ時を対象とし、大きく変更されます。特に神戸線では、2022年12月に京都線で廃止された「快速」が復活することになり、鉄道ファンや沿線住民に驚きを与えました。本記事では、復活する快速を中心に神戸線のダイヤ改正について解説いたします。
特急の運行時間帯が縮小
神戸線では、平日朝ラッシュ時の大阪梅田行き特急が「通勤特急」に、平日夕ラッシュ時の特急が「準特急」に変更されます。現行のダイヤでは、平日朝ラッシュ時の神戸三宮方面の最優等種別は通勤特急です。いずれにせよ、平日は特急の運行時間帯が大幅に縮小されます。
準特急の停車駅には、特急停車駅に加えて塚口駅と六甲駅が含まれます。ただし、平日夕ラッシュ時の準特急については、大阪梅田から神戸三宮までの所要時間は現行の特急と変わりません。これは、新たに園田駅で普通列車を追い越すことで所要時間を維持します。
また、10両編成で運行されていた通勤特急が8両編成に変更されます。この結果、阪急線では10両編成の列車が消滅します。
神戸線では新種別「快速」が登場します。この快速は、現行の通勤急行を置き換えるもので、停車駅は大阪梅田、十三、武庫之荘以遠の各駅となります。一方、塚口駅は通過駅となり、通勤特急や準特急が停車するにもかかわらず、下位種別の快速が通過する点が注目ポイントです。
快速は平日朝ラッシュ時と夕ラッシュ時に運行されます。平日朝ラッシュ時の大阪梅田行き快速は、春日野道~武庫之荘間の各駅において大阪梅田までの先着列車となり、現行の通勤急行よりも2本増発されます。
このほか、宝塚発(今津線経由)大阪梅田行き準急、大阪梅田発西宮北口行き急行、さらに平日深夜時間帯の列車が増発されます。
なぜ快速は塚口駅通過にするのか
注目すべきは、快速の停車駅です。なぜ塚口駅を通過し、代わりに武庫之荘駅に停車するのでしょうか。
塚口駅は伊丹線との分岐駅であり、通勤特急などの優等種別が停車する駅です。かつて、塚口駅は阪急全駅の中でも乗降客数1桁台にランクインしていました。しかし、隣駅の武庫之荘駅の順位が上がり、2023年には武庫之荘駅が45,114人(9位)、塚口駅が42,557人(10位)という状況になっています。
武庫之荘駅周辺は閑静な住宅街が広がり、ラッシュ時には多くのビジネスパーソンが利用します。このため、ラッシュ時に塚口駅と武庫之荘駅の利用者が同じ列車に集中しないよう、分散させる狙いがあると考えられます。
平日夕ラッシュ時(神戸三宮方面)では、塚口駅の利用者は準特急を、武庫之荘駅の利用者は快速を利用することになります。また、平日朝ラッシュ時の大阪梅田行き快速は、春日野道~武庫之荘間の各駅において大阪梅田までの先着列車となることで、通勤特急への混雑集中を避ける工夫がなされているように感じました。
ラッシュ時における最優等種別への混雑集中を避けることは全国的な課題となっています。一部の路線では優等種別を廃止する例もありますが、種別の新設や列車の増発により混雑の平準化を図る阪急神戸線のダイヤ改正は、評価に値する内容だと思います。