東海道、山陽、九州、西九州新幹線の一部指定席車両の後部にある「特大荷物スペース」。最後尾の座席とセットで販売されており、事前予約するだけで大型スーツケースなどの置き場が確保できる便利なサービスです。しかし、知ってか知らずか、予約なしで普通サイズの荷物を勝手に置く人が後をたたないようです。JR東海に話を聞きました。
知らない人が占領…どうすれば?
特大荷物スペースのサービスは2020年5月開始。縦横高さの合計が160cm超250cm以内の荷物は「特大荷物」扱いになり、持ち込む場合には専用座席の予約が必要になります。
予約方法は座席購入時に「特大荷物スペースつき座席」を選ぶだけ。価格は通常の指定席と同じ。別料金は不要です。
「ご旅行前からお座席の近くに荷物置場を確保いただけるとともに、乗降扉付近などの荷物置場に荷物を収納することでスムーズに乗降していただくことが可能になりますので、さらに安全で安心かつ快適に新幹線をご利用いただきたいと存じます」(2019年8月のJR3社ニュースリリースから)
ネット上で利用者の反応を調べると、「特大荷物スペースありがたい」「快適めっちゃ良い」などと喜ぶ声がある一方で、「予約せずに荷物置く人多すぎ」「毎回勝手に置いてる人がいて迷惑」「予約したのに知らん人に占領されてる」「荷物置きたいなら予約してよ」など、困惑や怒りの声が。トラブルを避けたい人からは「知らない人の荷物を勝手に触るわけにもいかず、パーサーが通るまで待ってる」という声も。
予約したスペースに勝手に荷物を置かれていた場合はどうすれば。
JR東海の担当者に話を聞くと「持ち主不明の荷物があった場合には、お手を触れることなく、乗務員までお知らせください」。
外国人観光客への周知は?
筆者は先日、新幹線を利用した際、予約制とは知らずに中型のスーツケースを置く外国人観光客の姿を目撃しました。しばらくするとパーサーが現れ、翻訳ツールを通じて説明。外国人客は納得した様子で、荷物を中ほどにある自席へ移動させていました。
外国人観光客への周知は。同社に取り組みを聞くと、駅や車内で多言語による案内を行っていました。
「外国人のお客様に向けては、東海道新幹線の荷物ルールにおける全体像が分かるような案内が必要との考えから、車内の荷物置場を紹介する床貼シートをのぞみ停車駅に展開したり、ポスターにて周知を行っております。車内では、荷物棚をご利用の際の落下防止の注意喚起や、予約をせずに特大荷物スペースやコーナーはご利用になれないことについて、日本語と英語で放送を行っております。特大荷物スペースや特大荷物コーナー現地においては、案内表記に加え、QRコードで4言語(日英中韓)対応の案内サイトへの誘導を行っております」(JR東海担当者)
ほかにも、多くの訪日外国人客が利用するJRグループ6社の周遊券「JAPAN RAIL PASS(ジャパン・レール・パス)の引き換え時にリーフレットで案内したり、券売機の画面で特大荷物スペースつき座席の説明を表示したりしているといいます。
特大荷物、事前予約なしに持ち込むとどうなる?
では、特大サイズの荷物を事前予約なしで持ち込んだ場合、車内ではどう対処しているのでしょうか。
「他のお客様のご迷惑となることがないよう、車内において乗務員が指定した箇所に荷物を収納いただくようご案内しております。なおこの場合には手数料(税込み1000円)をいただきます」(JR東海担当者)
なお、楽器やスポーツ用具、ベビーカーなどは事前予約なく持ち込み可能ですが、車両最後部のスペースに置きたいときは、「『特大荷物スペースつき座席』のご予約をおすすめいたします」(JR東海「東海道・山陽・九州・西九州新幹線への特大荷物のお持ち込みについて」から)。