勤めていた会社の業績が振るわず、50代でリストラの対象になって解雇されてしまった。来月から住宅ローンが払えなくなる境遇には同情するものの、よくよく突き詰めたら「あなたが原因ですよね」という背景を見ることがあるという。
大阪市の北浜で不動産仲介業を営む、株式会社グラウンド社長・鈴木宏治さんに聞いた。
家族が一致団結してローンの返済に取り組む例は非常に珍しい
定年まで10年近くもあるのに50代で会社を突然解雇され、住宅ローンの返済に行き詰まるケースがある。
「なんとか乗り越えようと、一致団結する家族は実際にあります。奥さんがパートに出る、高校生の子供もアルバイトをする。もちろん旦那さんも転職先を探したりアルバイトをしたりして、困難を乗り越えようとするパターンです」
ところが、鈴木さんが見聞してきた範囲では、これは非常に珍しいのだという。
「たいてい離婚の準備に入っているか、すでに離婚しています」
奥さんが子供を連れて家を出た後、家には旦那さんが1人で残る。
「戸建ての家は、旦那さんが1人で住むには持て余します。だから『この家は、もう要らない。売りたい』ということで私共が関わるのですが、僕が相談を受けてきた経験だけをいえば、同情の余地を見出せない人が多かったです」
僕が知る限り生活態度のだらしない人が多い
鈴木さんが過去に相談を受けた事例の多くは、人間的に疑問を持たざるを得ない人が多かったという。
わざわざ夕食の時間に呼びつけて打ち合わせと称して食事に誘い、鈴木さんに奢らせようとしたり、露骨に「飲み代を貸してくれ」と頼まれたりしたこともあるそうだ。
「話を聞いても、全く同情も共感もできないのです。そういう人の多くは生活態度がだらしない。僕が知る限りですが、踏ん張って人生をやり直すという人は、いませんでした」
だが、本人には問題がないのにリストラで解雇される人もいる。一般論として、ローンの返済に行き詰まらないよう、前もって打っておける手立てはないのだろうか。
「無理な借り方をしないことは当たり前として、ローンを借りる際に、ある程度まとまった現金を手元に残しておくこと。そして、団体信用生命保険といって、ローンを組むときに入る保険があります。名義人が亡くなったら残りがいくらであろうと返済が免除されます。それにプラスして、オプションに入っておくことです。たとえば癌と診断されたら、返済が免除になるものがあります。火災保険と地震保険も原則かけるのですが、手厚くかけておいたほうがいいです」
これまで相談を受けた人たちの性格や生活態度に問題のある場合が多かったせいで、メンタルがしんどくなったという鈴木さん。そのため、今ではローンの返済に行き詰まった人の相談を受けていないそうだ。
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