社名は「六甲バター」ですが「バターを作ったことも、売ったこともありません」 年に9億個販売「Q・B・Bチーズ」誕生を支えた挑戦と成功の秘密

クラブTVO編集部 クラブTVO編集部

50年以上にわたって愛されるロングセラー「Q・B・Bチーズ」。学校給食の名脇役として記憶している人も多いのではないでしょうか? 給食だけでなく家庭のおやつ、おつまみまで…幅広い世代に愛される関西人には定番のプロセスチーズ。現在では定番シリーズの他に期間限定のフレーバーも人気があり、年間約9億個を売り上げています。

そんな「Q・B・Bチーズ」を生み出したのは、神戸市中央区にあり六甲山のふもとに本社を置く「六甲バター株式会社」です。

話を伺ったのは4代目社長・塚本浩康さん。実は「六甲バター」という社名にも関わらずバターを作ったことも売ったこともないという驚きの事実が判明!

なぜ「六甲バター」という社名になったのか。気になる社名の由来には、子どもたちの健康を願う創業者の熱い物語がありました。数々のひらめきで戦後の混乱期を乗り越えてきた、その波乱万丈の開発秘話に迫ります。

「六甲バター」なのにバターを作ったことがない!? 気になる社名の由来とは

戦後からおよそ2年経った1947年。日常の暮らしを取り戻しつつも、食料はまだ満足に手に入れることができません。戦争から復員して仕事を探していた創業者・塚本信男は、今後食生活が豊かになっていく時代に求められる食品は何だろうと考え、かつて大阪の専門商社で働いていた経験から海外の食品に目を向けていました。そんな中、神戸でも学校給食が再開されましたが、「補食給食」と呼ばれたその内容はコッペパンと脱脂粉乳という簡素なもの。それを見た信男はどう見ても栄養が足りないことに危機感を感じます。

子ども達に栄養豊富でカロリーの高いものを提供しなければと考えた時、知人からバターの代用品として開発された「人造バター」が欧米で流行していることを聞かされます。主原料は牛乳ではなく動植物性の油脂。この人造バターは海外で「マーガリン」と呼ばれていました。

本物のバターよりもコストが低く、かつ高カロリーという食品に可能性を見出した信男は、友人らとともにマーガリンメーカーを設立し、開発に着手します。

当時は高級品だった本物のバターの味を知る社員が少ない中、別メーカーからノウハウを教えてもらうなど試行錯誤の末、1950年、「マーガリン 六甲バター」が誕生しました。

これが予想以上にヒットした結果、商品名をそのまま社名とすることが決定。当時はバターとマーガリンの区別が厳格ではなかったため、問題視されることもなくその名は定着したと、4代目社長は笑います。

「六甲バター」とは「人造バター」に由来する社名だったのです。

日持ちしないバターが売れない…〇〇をヒントに小分けで販売!

「安く手に入るバター」として業務用のものは売れていたのですが…家庭用は鳴かず飛ばず。理由の一つはパン食が一般的でなかったこと、そしてもう一つは冷蔵庫が普及していなかった当時、バターの大きなサイズが場所を取り、一度開封すると日持ちさせられないということでした。

そんな窮地の中にもターニングポイントが訪れます。信男は、子どもたちの憧れ「キャラメル」をヒントにマーガリンを個包装にすることを思いつきます。9分の1のサイズに切り分けた小分けのマーガリンは見事大ヒット!学校給食にも導入され、「高カロリーの食品を子どもたちに届ける」という当初の願いが叶うこととなります。

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