冬が迫る中、職場で出産した母猫と子猫を保護 「最後まで成長を見守りたい」芽生えた思いに後悔なし

梨木 香奈 梨木 香奈

まるちゃんとくまちゃん、(旧Twitter)ユーザーの飼い主・まるくま(@_marukuma)さんが出会ったのは、2023年10月10日のことでした。当時、まるちゃんは生後推定4歳から5歳。一方、くまちゃんは、生後推定1カ月ほどでした。

ある日、飼い主さんは、お母さんから「うちの職場にくる野良猫、お腹大きいんだよね。もしかしたら妊娠してるのかも」という話を聞きました。お母さんの予想通り、母猫は会社の敷地内で5匹の子猫を出産したのです。

当時、飼い主さんが暮らしている土地は、雨が降り、肌寒い日が続いていました。「このまま気温が下がったら、あの子たちは寒さをしのぐことができるのか? あれほど車の通りが多い駐車場近くにいて、これから子猫たちが活発に動き回るようになったら事故にあう危険も……」と考え始めると、いてもたってもいられなくなったと飼い主さんは当時の心境を語ります。

ところが、飼い主さんのおうちには、当時、すでに3匹の先住猫が暮らしていたため、お母さんからは猫たちを保護することに反対されたといいます。そのため、飼い主さんは「責任をもって里親探しをする」とお母さんや家族に約束。理解を経て、保護することを決断しました。

母猫と子猫たちを保護、里親さんが決まるも心境に変化が

保護当日は、母猫は人間になれていたため子猫たちとともにスムーズに保護することができました。猫たちを家に連れて帰った飼い主さんは、自宅の空いている一室を保護猫部屋にして準備を整え、迎え入れたといいます。

そうして飼い主さんは約束通り、職場の同僚や友人に声をかけ、猫たちの里親さんになってくれる人を探し始めます。すると、想像以上にスムーズに里親さんが決まり、猫たちはそれぞれの新たな家へと旅立っていきました。

そんな中、飼い主さんの心境に変化が起こります。「この子たちの成長を最後まで見守りたい。この子たちを幸せにしたい」と考え始めたのです。そこで、結婚を機に引っ越しをすることが決まっていた飼い主さんは、将来の夫にこのことを相談。すると、「一緒に猫たちを幸せにしていこう」と言ってもらえたのです。

そうして、茶白の母猫「まる」ちゃんと、その子どもで鼻に1本の筋があるサビ猫の「くま」ちゃんを迎え入れることに。新天地で、飼い主さん夫婦と2匹の猫の暮らしが始まりました。

猫たちと過ごすにぎやかな日々

当時、生後1カ月ほどの赤ちゃんだったくまちゃんは、この1年ですっかり成長しました。「少しずつ成長する過程をみることができて、喜ばしい日々の連続でした」と飼い主さん。

まるちゃんとくまちゃんは、新居で環境が変わった中でもすぐに慣れてくれたため、飼い主さんはその適応力の高さに驚いたそうです。

「保護した日から、日々、新しい行動や表情を見ることができて、毎日、とても楽しいです。写真フォルダは、まるとくまでいっぱいになりました(笑)」と語っています。

一方、大変だったこともあるそうです。

「まるくま共に、避妊を予定していた日の少し前に発情がきてしまい、夜鳴きが始まりました。とても辛そうな鳴き声が気になって、眠れない日々を過ごしたことを覚えています」と飼い主さん。今は、それも良い思い出になっています。

また、飼い主さんの夫はもともと猫アレルギーがありましたが、まるちゃんとくまちゃんと暮らすようになってから症状が出なくなったといいます。

「夫は、今ではすっかり猫好きになりました。猫吸いもしっかり堪能しています(笑)」と、飼い主さん夫婦ともどもまるちゃんとくまちゃんにメロメロのようです。

個性豊かな2匹との暮らし…今、飼い主さんが思うことは

今、まるちゃんは推定5歳、くまちゃんは1歳になりました。親子ながら、その性格はとても個性豊か。

まるちゃんは、とても温厚な性格です。保護してから現在に至るまで、一度も飼い主さんを威嚇したことはありません。

「くまにちょっかいを出されても、大抵のことは軽く受け流しています。食いしん坊で、お腹が空くと『ごはぁん』と鳴いて、催促をします(笑)」とのこと。

また、くまちゃんは、とても甘えん坊な性格。まるちゃんにいつもベッタリとくっ付いて、飼い主さんに対しては、かまってもらえるまで鳴いて催促するそうですよ。

「よく窓辺で虫を見つけては一生懸命捕まえようとしたり、家中を走り回ったりと、おてんばな一面もあります。9月に1歳になりましたが『まだまだ子どもだな』と思うことが多いです」と飼い主さんは愛おしそうに語ってくれました。

最後に、飼い主さんにまるちゃん、くまちゃんへの思いをうかがいました。

「もしあのとき保護していなかったら、今ごろまるとくまはどんな生活を送っていただろうと考えることがあります。保護に踏み切ったからこそ、今の幸せな生活があると思い、改めて『保護して良かった。家族になれて良かった』と思うのです。これからも家族2人と2匹で、楽しく健康に過ごしていきたいと考えています」

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