産後ママの約8割「精神的につらかった」…なのに医師の診察を受けた人は2割に満たず

まいどなニュース情報部 まいどなニュース情報部

産後うつは多くの母親が経験するものですが、あまり知られていないのが現状といいます。ベビーシッター・家事代行サービス『キッズライン』を運営する株式会社キッズライン(東京都港区)が実施した「産後のメンタルヘルス」に関する調査によると、約8割が「産後は精神的につらかった」と回答しました。その一方で、医師の診察を受けた人は2割に満たないことがわかりました。

調査は、子どもを持つ全国の親512人(男性はパートナーの産後の状況を回答)を対象として、2024年9月〜10月の期間にインターネットで実施されました。

その結果、産後の精神状態について、「少しつらい時期があった(産後うつ傾向があったと思う)」(48.8%)と「とてもつらかった(今思えば産後うつだったと思う)」(29.5%)を合わせて78.3%の人が「精神的負担」を感じていることがわかりました。

さらに、「精神的につらかった理由」としては、「睡眠不足による疲労感」(83.8%)、「赤ちゃんの泣き声や夜泣きでの精神的な疲れ」(68.8%)、「自分の時間が持てないストレス」(67.8%)といった回答が上位に並び、中でも睡眠不足による疲労感が母親の産後のメンタルヘルスに大きな影響を与えていることがうかがえます。

また、「精神的につらかった時期」については、「産後2週間〜1カ月」(44.1%)や「退院後〜産後2週間」(39.7%)などに回答が集まり、産後間もない時期に精神的負担がピークに達することが確認されました。

その一方で、精神的につらさを感じたにもかかわらず、「医療機関を受診した」と答えた人はわずか17.5%に過ぎませんでした。その理由としては、「新生児を抱えて外出が難しかった」「産後の精神的な不調で受診すべきとは思わなかった」などの声が挙げられました。

これに対し、医師による診断を受けた人のうち、24.3%が「産後うつ」、28.6%が「産後うつ傾向がある」と診断されていることから、産後の精神的な問題は一過性のものでなく、本来は早期に手厚い治療やケアが必要な深刻な問題であることが示されています。

そこで、「産後のメンタルヘルスケアとして求められているケアやサービス」を尋ねたところ、「産後の外出や休息を取るための新生児ベビーシッター」(58.6%)、「睡眠不足解消のための夜間育児サポート」(52.0%)、「家事代行サービス(掃除・洗濯・料理・買い物代行)」(47.1%)などが挙げられ、「新生児を連れての外出が難しい」「きょうだいの世話があるため在宅が必須」「育児が日常生活の一部であり、外出先で一時的に受けるサービスでは全体的な負担軽減に限界がある」などの理由が寄せられたことからも、産後の母親は外出して受ける施設型のサービスよりも、在宅で家事や育児の負担を軽減する支援を強く求めていることが明らかになりました。

現在、東京都の一部市区町村では「東京都ベビーシッター利用支援事業」の「一時預かり事業」を通じて、ベビーシッター利用料金に対し1時間あたり最大2500円の助成が受けられますが、近年ではこの助成制度を産後の新生児ケアに利用するケースが増えているといいます。

このような「利用用途を問わないベビーシッター利用助成」の賛否を聞いたところ、91.8%が「有効だと思う」と回答したことがわかりました。

これらの調査結果を踏まえて、精神科専門医の宮川紫乃医師は「産後、辛い時には一人で抱え込まず、早めに精神科の医師にご相談ください。人に助けを求めることは決して悪いことではありません。シッターさんに頼って育児から離れ、リフレッシュすることは身体を休めることができるだけでなく、こころの安定にも繋がります」と述べています。

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