続々オープンでも常に資金不足 活動はボランティア頼み 滋賀県内の子ども食堂

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 子どもたちに無料や低価格で食事を提供する「子ども食堂」が、滋賀県内で広がりをみせている。5月末時点で活動している子ども食堂は205カ所に上り、アレルギーがある子ども向けの食事の提供や障害者との交流など新たな試みも行われている。ただ、多くの子ども食堂はボランティア頼みで、活動をどう継続させるかといった課題を抱えている。

 テーブルの上には、カップに入った色鮮やかなデザートが並ぶ。子どもたちが笑顔で味わったのは、小麦や卵を使わずに作られた品々だ。

 守山市や大津市など県内各地で活動する「スマイルシード」は、アレルギー対策に特化した全国的にも珍しい子ども食堂。アレルギーの原因となる食べ物を取り除いた「おにぎりビュッフェ」や「スイーツビュッフェ」などを年数回、開催している。

 スマイルシードは、日本アレルギー学会の専門医で、現在は龍谷大教授でもある楠隆さんら医療関係者が2017年に始めた。アレルギーのある子どもたちは、アレルギー症状を防ぐため、限られた場で決まったメニュー・量の食事を取る日常を送っている。「治療し、安全な食事を提供するだけでなく、病院の外でも料理を自分で選び、好きなだけ食べられる場をつくりたい」と考えたことが、活動のきっかけになった。

 大津市を拠点とする「逢坂smile door子ども食堂」は、利用する子どもと障害者の交流に力を入れている。5月には、子どもたちと車いすの女性計約20人が、鉄道で県立陶芸の森(甲賀市)へ出かける日帰り遠足を楽しんだ。

 運営スタッフの殿城弘子さん(67)=大津市春日町=によると、障害者と子どもたちの交流を始めるきっかけは、大津駅前でたたずむ車いすの女性らに出会ったことだったという。声をかけたところ「昼間の居場所がない」と打ち明けられ、同食堂に誘った。殿城さんは「交流を通して、子どもたちには自分にも手伝えることがあると知ってほしい」と話す。

 NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの23年度調査によると、人口10万人当たりの子ども食堂の数を示す人口比は滋賀は全国6位で、子ども食堂がある小学校区の割合は49・55%と全国4位になっている。県社会福祉協議会の担当者は「滋賀は高齢者のふれあいサロンや自治会活動など地域活動が活発な素地があり、子ども食堂も広がったのでは」とみる。

 だが、その運営基盤は、脆弱(ぜいじゃく)なのが実情だ。多くの子ども食堂が資金や人材面で悩みを抱えている。

 「スマイルシード」は独自に収入を得る方法がなく、運営は民間の助成金が頼りという。さらにアレルギー対応食は商品の取り寄せが必要な上、アレルギーの対応は参加者で随時変更があるため、タイミング良く食材の寄付を受け付けることも難しい。「常に資金不足」(笹畑美佐子代表)と打ち明ける。

 「逢坂smile door子ども食堂」が直面しているのは担い手不足で、スタッフの高齢化が今後の運営継続の大きな課題という。代表の殿城幸雄さん(72)は、教育委員会が子ども食堂の学習面などを支援する動きがあることを念頭に「行政には福祉の側面からだけでなく、総合的に子ども食堂の活動を支援してもらえるとありがたい」と話す。

 県全域の子ども食堂の情報を一括して集めて発信するなど、子ども食堂のネットワークづくりなどを支えてきた県社協は、17年度から「子どもの笑顔はぐくみプロジェクト」と名付けた取り組みを進めている。子ども食堂側と支援したい人とをつなげる仕組みで、食材や資金の寄付に限らず、食堂の開設場所を提供したい、運営スタッフとしてボランティアをしたい、といった要望を橋渡ししている。

 県社協は「県域全体で子ども食堂の数を増やす段階はいったん落ち着いた。プロジェクトへの支援を募り、次は地域に根付いて、事情にあった形で続くよう、サポートしていきたい」としている。問い合わせは県社協077(567)3924

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