田辺アンニイさんと愛猫ちゃみちゃん(1歳半・メス)との出会いは、2023年11月9日。都内の和食屋さんの前で、弱々しくうずくまっていたちゃみちゃんを見つけたお店のご主人が、田辺さんのお客さまであるKさんに連絡を取ったことがきっかけでした。Kさんは、田辺さんがペットシッターをしているお客さまで、すぐに現場に赴き、ちゃみちゃんを保護しました。しかし、Kさんの家では世話をすることが難しかったため、田辺さんが11月9日にちゃみちゃんのお世話を引き受けることになったのです。
初めて対面したときのちゃみちゃんは、体中がネズミ捕りの粘着剤でベトベトになっており、田辺さんはその姿に驚きを隠せませんでした。ちゃみちゃんは一生懸命粘着物を取り除こうとしていましたが、その粘着剤を舐めるのは危険でした。
田辺さんはインターネットで調べた方法を頼りに、ちゃみちゃんの体をきれいにしました。まず小麦粉を体全体に振りかけ、続いてサラダ油を塗り、その後シャンプーとドライヤーで徹底的に洗い流しました。気がついたら、時計の針は翌日に。深夜に及ぶ奮闘の末、ちゃみちゃんはようやく粘着剤から解放され、元の姿を取り戻すことができました。
「ちゃみと初めて会った時の印象は、とにかく汚くて(笑)、儚げな女の子が、外で一生懸命生き抜いてきた姿が心に刺さりました」と田辺さんは振り返ります。
当初、田辺さんはちゃみちゃんを一時的に預かり、最終的には譲渡する予定でした。しかし、ちゃみちゃんが我が家に来てから約2か月間、その可愛さと存在感に心を揺さぶられ、譲渡ではなく自分の子として育てることを決意しました。
保護した当初から、ちゃみちゃんは田辺さんの家で他の犬猫たちと問題なく過ごし、すぐにリラックスした様子を見せてくれました。そのおっとりとした性格と優しい振る舞いは、他の動物たちとの間でもすぐに打ち解け、大物ぶりを発揮しました。
ちゃみちゃんという名前は、茶色い毛並みと美しい外見から「茶美」という名前が浮かび、ひらがなの「ちゃみちゃん」として定着しました。ちゃみちゃんは日光浴が大好きで、いつも田辺さんのそばで転がりながら、陽の光を楽しんでいます。
ちゃみちゃんにはもう一つの特徴があります。それは「突発性てんかん」という持病です。保護から1か月もしないうちに、初めての発作が起き、それ以来、ほぼ毎日のように発作が続くようになりました。田辺さんは驚き、病院を転々としながら治療法を探しました。最終的に2024年1月、東京大学動物医療センターでMRI検査を受けた結果、突発性てんかんと診断されました。
てんかんの影響を恐れて、不妊手術を先延ばしにしていましたが、発情によるストレスを考慮し、最終的には不妊手術を決断。その後も、ちゃみちゃんは1日2回の抗てんかん剤を飲み、定期的に通院しています。時折、発作に伴う失禁が見られるものの、田辺さんはしっかりと見守り、ケアを続けています。
「もし、あのまま外にいたら、ちゃみは絶対に生きていけなかったでしょう」と田辺さんは言います。ちゃみちゃんは今も愛情深く世話をされ、その穏やかな表情を見るたびに、田辺さんはちゃみちゃんを家族として迎えたことに感謝の気持ちを抱いています。これからも、ちゃみちゃんは田辺家の一員として、温かい日差しの中で穏やかな日々を過ごしていくことでしょう。