防犯カメラや位置情報サービスが全国に広がった今でも、年間5000件以上の自動車盗難被害が発生しています(※)。特に、アルファードやランドクルーザーといった高額で人気のある車種を選んだ方にとっては、駐車場での盗難リスクが大きな懸念となっています。
その対策のひとつがセキュリティアラーム(防犯ブザー)です。これは車両盗難だけでなく、車上荒らしやいたずらを防ぐために搭載されており、ドアやボンネットを不正に解除しようとすると警告音が発せられます。クラクションやサイレンなど大きな音で周囲に異常を知らせ、車両盗難の減少に大いに役立っています。
ところが、役立つはずのセキュリティアラームが「大迷惑」を引き起こすこともあります。解決まで思わぬ時間がかかる事例もあるようです。
毎日1回、けたたましい警報音がマンション中に鳴り響く
Aさん(関西在住、50代、主婦)がお住まいのマンションは敷地内に複数の棟がある大型マンション。マンション敷地内に「駐車場棟」があり、2段の機械式で数百台分の車が停まっています。
そんな大型マンションのため、ガス警報器の誤作動や火災報知機の訓練などで、年に数度マンション中に警報音が鳴り響くことに住民は慣れっこに。多少の音には驚かない「耐性」があったそうです。
Aさん自身も「警報音が鳴っても外に見に行くこともしないのはかえって危険かしら」と思いつつ、実際に消防車が来るような火災が起こったこともないため、あまり気にしてはいませんでした。
ところが、ある日突然、これまで年に数回だった「警報音」が毎日のように聞こえるようになりました。
火災報知器やガス漏れ検知のアラートとは違う、あまり聞いたことのない警報音で、しばらくすると消えるものの、ひどいときは1日2,3回鳴ることもあり、さすがにAさんも迷惑に感じるようになりました。
マンションの管理スタッフに聞いてみると…意外な原因が判明
「最近、午前中に警報音のような、すごく大きい音がしますけど何が鳴っているのかわかります?」
とにかく原因を知りたいと、マンション敷地内の管理スタッフを呼び留めて聞いてみると、意外な答えが返ってきました。
「あれはたぶん駐車場に停めている車のセキュリティアラームだと思います。誤作動だと思うんですが、あれだけ車が多いとどの車がアラート出しているのかわからなくて…。誰かがとめに来ているのか、それとも自然にとまっているのかも実はわかっていないんですよ」
Aさんの部屋から駐車場棟とは100mは離れているのに、しっかり大音量で聞こえることに驚いたAさん。しかも、どの車かもわかっていないなんて!
あまりに毎日のように続く警報音に何か対処法はないかと、管理会社にあらためて電話をして聞いたところ、「同様の苦情が入っていて、駐車場を契約している住民全体に注意書きを回すことになった」とのこと。
警報音はそれから数カ月続きましたが、ある日からパタッとならなくなりました。
セキュリティアラームが鳴る原因は、なんと立体駐車の動作。上段の車体が重くて振動が強く、下段の車を出す際に作動してしまう状態だったそうです。
車を出していた下段の契約者は、ポストに投函された注意書きに気がついておらず、上段の車の持ち主も週末程度しか車に乗らないため、まさか自分の車が警報音を鳴らしていたとは思わなかったのだそう。そのため解決に時間がかかってしまいました。
盗難防止に役立つ大音量のアラームですが、誤誤作動を防ぐために必要に応じてアラームを解除することも検討すべきかもしれません。
(※)出典:警察庁/自動車盗難等の発生状況等について
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/bouhan/car/2024jidoushatounan.pdf