空の旅 行きと帰りでかかる時間が違う理由は? 秘密は「偏西風」にあった

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飛行機に乗ると、同じ距離でも行きと帰りの時間が違っていると感じたことはありませんか?これは、偏西風が卓越する日本付近では西に向かうよりも東に向かう方が飛行時間は短くなります。飛行機と風の関係性を見ていきましょう。


偏西風

偏西風とは、ジェット気流の一種で対流圏上部あるいは成層圏内(上空約9km~12km)で強い西よりの風が吹く帯状の領域であり、日本が位置する中緯度帯で吹いています。

巡行中の飛行機はこの偏西風が卓越する高度帯を飛行するため、偏西風の影響を大きく受けます。飛行機の離着陸時は揚力を獲得しやすい向かい風が有利ですが、巡行中は追い風が有利でより早く目的地に到着することが出来ます。

例えば、羽田-那覇では西に向かって飛ぶため飛行機が偏西風に押し戻されながら飛ぶことになりますが、那覇-羽田では偏西風が追い風となります。この結果、夏では東行きの方が10分ほど早く目的地に着きます。
長時間飛行する国際線だとより顕著になり、羽田-ホノルル(ハワイ)間だと東行の方が1時間30分ほど早くなります。


夏ダイヤと冬ダイヤ

同じ東に向かう便でも夏と冬では違いが出てきます。これは偏西風の強さが季節によって変わるからです。偏西風は南北の温度差とコリオリ力によって生じるため、気温差が大きくなる冬ほど強くなります。夏場は時速100kmほどですが、冬場になると時速300kmにもなります。

このため、航空会社の時刻表には夏ダイヤと冬ダイヤが存在しており、同じ路線でも夏と冬で飛行時間が変わります。


ダイヤの時間はどこからどこの時間か

ところで、ダイヤに設定されている時間は、飛行時間のみを表しているのでしょうか?
ダイヤに設定されている時間は出発地の駐機場を出発してから、到着地の駐機場に止まるまでの時間を表しています。このため、地上での走行時間と飛行時間を足したものがダイヤに設定されている時間となります。

上空の風の強さや航路上の天気によって飛行時間が異なるのは想像しやすいですが、地上走行時間も空港の混雑度や使用する滑走路によって変化します。

日本で最も利用者の多い羽田空港では、風向きや時間、目的地によって使用する滑走路が異なっています。北風が吹いている場合と南風が吹いている場合では、使用する滑走路が異なるため地上走行時間にも変化が生じます。

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