保護猫と東日本大震災が芸術一家の生きる道を変えた 京都の「猫猫寺」、猫の美術館建設プロジェクトに挑戦

西松 宏 西松 宏

「猫作家になる」と決めた雅乃さんは中学卒業後、進学はせず、レンや保護猫たちと一緒に過ごしながら、ひたすら猫の絵を描き続けた。その結果、20歳までの9年間で16作品が絵画コンクールなどに入選。その才能を開花させた。一家は上賀茂神社の近くで小さな雑貨店を4年間ほど営み、店内に小さなギャラリースペースを設けて、雅乃さんの作品を展示販売した。その後、今の物件が見つかったため、2016年に引っ越し「猫猫寺」をオープンさせた。

築100年以上の古民家を改装した館内には、猫のご本尊やご神体、襖絵や絵画など雅乃さんの猫愛溢れる作品が所狭しと展示されている。2023年からは、地下にある4畳半のギャラリーで、ツタンニャーメン展、世界の猫名画展、猫国武将展、そして現在は猫仏展という企画展を開催。作品は徹さんのサポートを得ながら、すべて雅乃さんが制作してきた。美術館関係者からの評価も高いという。雅乃さんの活動や猫猫寺はこれまで数多くのメディアに取り上げられ、いまや国内外から1日数百人が訪れる日もある人気スポットとなっている。

夢は次のステージに

これまで雅乃さんが制作してきた作品は200点以上におよぶ。ただ、古民家内ではとても展示しきれず、ほとんどが倉庫に眠っている状態だ。そこで「本格的な猫の美術館をつくり、これまでの作品をすべて展示したい」との新たな夢が一家に生まれた。

今年5月から「猫の美術館建設プロジェクト」をクラウドファンディングで始め、第1目標3千万円を掲げて実施した第1弾(6月末まで)では、672万円が集まった。7月7日からは第2弾を開始。リターンを一部リニュアルし、リクエストの多かった「自分の愛猫の名前と写真を美術館に展示する」特典を新たに加えた(8月31日まで)。

同館は保護猫の譲渡会の開催、里親募集のチラシを貼るなどして保護猫活動をしている人たちの手伝いもしており、集まった資金の一部は保護猫団体へ寄付する予定だ。

「路上で絵を売っていたときから今に至るまで、たくさんの方々のお世話になってきました。僕の描いた絵や作品を見て喜んでくれる方々から、逆に僕自身、勇気をいただいてここまでやってこれたので、本当に感謝しています。これまでの作品を一堂に展示できる本格的な猫の美術館をつくって、僕が猫作家として支えられてきたように、これから作家になろうとしている人、現在活動されている人たちを応援していきたい」と雅乃さん。どんな猫の美術館ができるか、今から楽しみだ。

「猫猫寺」ホームページはこちら→https://nyannyanji22.www2.jp

「猫の美術館建設プロジェクト」クラウドファンディングはこちら→https://ryu-neko.com/2021/06/14/オンライン美術館プロジェクト/

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