みなさんすでにおなじみのChatGPT。様々な分野で活用されており、「なんて便利なツールなのか」と使っている方も多いと思います。仕事で大人が用いるだけではなく、既に一部の小学生でも使われていて、「宿題にChatGPTを使ってもいいか」と議論になるほどです。しかし、ある小学生はChatGPTを使って宿題を早く終わらせることができましたが、ちょっと後悔してしまったことがあるそうです。
ChatGPTであっという間に宿題を終わらせる
ある東京都の小学校。6年生のクラスで「交通安全の標語を作る」という宿題が出ました。
「あー、考えるの面倒だな」と思ったO君。「あ、そうか、ChatGPTを使えばいいんだ」と得意げです。与えられたテーマは決まっています。「〇〇で〇〇の標語を10個出して」といった雰囲気でChatGPTに命令すると、数秒で10個の「素敵な標語」が表示されました。O君は10個全てを書き写し提出しました。「数秒で終わった」と得意げのO君でした。
翌日、クラスのみんなが宿題を持ち寄ったところ、驚いたことに、自分と同じ標語を書いている友達がいました。O君は友達に「もしかしてChatGPT使った?」と聞いたら、「そうだよ」という返事が返ってきました。そのほかにも、クラスの数名も、なんだか似たような標語を書いていて、O君はちょっと気まずい気分になりました。
いよいよ、宿題をみんなの前で発表する時間がきました。Mさんが考えてきた標語を発表した時、個性にあふれた、面白い標語に注目が集まりました。
その標語は、訴えたいイメージがちゃんと標語に入っていて、センスがよさそうと感じるものでした。おまけにちょっとユーモアも入っていました。みんなに褒められたMさんは、とても喜び、自分への自信へもつながったようです。
帰宅後、O君は少し後悔をした様子で母親にこういいました。
「ChatGPTで作ったけど、もう少し自分で考えれば、僕ももっといい標語が作れたかな」
自分らしさを忘れない
「宿題にChatGPTを使うからこんなことになるんだ」と思う親御さんもいるかもしれませんが、O君の行動は褒めてあげたいと思います。
というのも、ChatGPTは、使う人がチャット欄に「〇〇を教えて」などと質問や命令をするのですが、この書き方がとても重要です。
ChatGPTが高い精度の回答を出す為には、この質問の質も高めなければいけません。今回はきちんと10個の標語が出てきたので、明確かつ具体的に指示ができていたのでしょう。
問題は、でてきた答えをそのまま提出したこと。それでも間違いではないのですが、一度出てきたアイデアを更に、ブラッシュアップしたり、それを元に考えていくことができれば、もっとO君のオリジナリティがでたかもしれません。
普通に標語を考えた場合でも、他人と同じ標語が出てくることもあります。
自分で考えた場合は、偶然の一致となるのに対して、今回は何も考えずにChatGPTの回答をそのまま提出したのでO君のように「もっと考えればよかった」と後悔がでてきたのかもしれません。
もうすぐ夏休み。ChatGPTを使って宿題をしようと思っている人もいるかもしれませんが、頼る部分と自分でやる部分との切り分けが大切だと思います。
ChatGPTで出てきたそのままの答えより、あなたの想像力とオリジナリティの方が、価値があるのではないでしょうか。
◆くま ゆうこ ネットいじめ、ハラスメント専門家。株式会社マモル代表取締役社長。自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かし、 いじめや組織のハラスメントを未然に防ぐシステム「マモレポ」を開発する傍ら、学校コンサルティング、いじめ・ハラスメントのセミナー登壇、執筆を行う。