運転免許を取得する際の「学科試験問題」など、意図的に回答者の混乱を招く「ひっかけ問題」が度々話題になります。
先日、「60を半分で割って20を足した数字の答えは?」という問題文に対して、理系と文系で回答がわかれる、という説が話題になりました。
その説に対して、モーニング・ツーで現在連載中のマンガ『ぜんぶシンカちゃんのせい』などのマンガ原作者/作家として活躍するRootport(@rootport)さんが、X(旧:Twitter)に投稿したポストが大きな話題になりました。4万件以上のいいねがついたポストについて、投稿者のRootportさんにお話を聞きました。
60を半分で割って20を足したら?
「『60を半分で割って20を足したらいくつ?(正解:22)』って算数の問題が流れてきたけど、日本語を商売道具にしている人間としては見過ごせませんよ!? ヒトの脳は自動的に文章を校正しちゃうので、『60を〝その〟半分で割って』と書かないと伝わりません。『60を半分〝に〟割って』と校正しちゃう」
Xにそうポストした、Rootportさん。その考察通り、「22」という正解を導き出した人以外に、脳内で問題文を「校正」し、「60を半分で割って」を60の1/2、つまり「30+20」と解釈して、「50」と回答した人が続出。そんな状況について、Rootportさんは続けてこんなポストを投稿しました。
「『半分=1/2』と解釈することもできそうです。この場合も、議論の余地はあると思います。『言語はジェスチャーゲームである』という仮説に基づけば、問題は『半分』という言葉を聞いただけで『1/2』を連想する人々のコミュニティに属しているかどうか」
Rootportさんの考察に対して、コメント欄には多くの反響が寄せられました。
これだから「算数」が嫌いだった
「『60を半分で割って』→『60を半分に割って』の誤植だと思ったわw」
「幾つかの読み取り方ができる問題文というのは、問題文として不適切。誤解を生じさせない書き方をしないと、『やーい引っかかった』という小学生レベルのバトルになる」
「これだから小学校の頃の算数が嫌いだった」
「日本語遊びでは許されるけど、ビジネス現場ではダメダメですよね。プロジェクトが炎上する未来が見える」
今回の反響に対して、「今回も軽い気持ちで投稿したのですが、思った以上に反響があり驚いています」と、Rootportさん。「言語はジェスチャーゲームである」という仮説は、書籍『言語はこうして生まれる 「即興する脳」とジェスチャーゲーム』(モーテン・H・クリスチャンセン、ニック・チェイター著)からの引用だそうです。
「『正しい日本語』とは何かを考えさせられる、とても興味深い本でした」(Rootportさん)
コメントの中には、「算数でこういう問題に引っかかって問題を読めと注意される度に、作成者の国語能力が問題あるよね?と反抗してて苦手意識がある」という、切実な声も寄せられました。
昨今は、「ご遠慮ください」を「少しだけやっていい」、「立ち入らないで」を「座ればいい」などと自身の都合のいいように解釈するなど、「日本語の読解力の低下」も問題になっています。誤解を招きやすい文章で回答者を混乱させる「ひっかけ問題」について、あなたはどう考えますか?